NORTHWEST BIOTHERAPEUTICS INCNWBO

時価総額
$3.6億
PER
がん向け免疫療法の新興企業。DCVaxプラットフォームと個別化ワクチンのDCVax‑Lを展開。2020年8月のFlaskworks買収と2023年12月の英国MHRAへのMAA提出。米国・英国・欧州で展開。

事業内容

NORTHWEST BIOTHERAPEUTICS INCはがん免疫療法の研究開発を行い、患者自身の免疫細胞を使った「DCVax」プラットフォームを中心に事業展開しています。主力製品であるDCVax‑Lは膠芽腫(グリオブラストーマ)を対象とした個別化ワクチンで、同社は第3相試験を完了し、英国の医薬品規制当局(MHRA)へ承認申請(MAA)を提出して審査を受けています。

同社の将来の顧客は承認後の患者、病院や医療機関、保険者になりますが、現時点では製品販売による実質的な収益は期待していません。事業資金は増資や転換社債、商業借入などの外部資金に頼っており、個別化治療は製造費が前倒しでかかるため保険償還交渉が収益性に大きく影響します。

事業は研究開発、臨床試験、製造・供給の三つの流れで進めており、製造は外部の契約先に委託しています。製造の自動化を進めるためFlaskworksを買収し、ロンドンのAdvent BioServicesなどと長期の製造契約を結んで専用設備の確保やマイルストーン支払いの条件で運営しています。

経営方針

同社の成長戦略の中核は、個別化免疫療法プラットフォーム「DCVax®」の臨床開発から承認、初期の商業化へと進めることです。具体的には、DCVax‑Lについては既に第III相試験を終え、2023年12月に英国の医薬品当局(MHRA)へマーケティング承認申請(MAA)を提出しており、同社はMHRA審査の通過と初期販売開始を目指しています。一方で財務面では課題が大きく、2024年通期での純損失は約8,380万ドル、営業活動によるキャッシュ流出は約5,700万ドルと報告されており、同社は商業化までに必要な資金調達を継続して行う計画です(2024年はシリーズCで約820万ドルを調達、6月の公募で約330万ドルの総収入を得るなどの動きがあり、2025年には複数の転換社債や商業ローンで資金を手当てしています)。

重点投資分野は製造能力の整備と臨床開発の加速に振られており、製造では英国ロンドンおよびSawstonのGMP施設での継続的な設備投資と外部委託先(Advent BioServices)との契約履行に注力しています。差別化の源泉としては、患者自身の樹状細胞を活性化してがんを攻撃させる個別化ワクチンという技術的特性があり、社内でのプロセス開発やブースター剤(TLRアゴニスト等)のライセンス契約、Flaskworksによる製造工程の自動化や小型化といった取り組みで製造コスト低減と供給安定化を図っています。外部コンサルや法務・規制支援費だけでも年間で約1,800万ドルに達するなど、専門サービスへの投資を通じて品質管理と承認対応力を高めています。

新市場開拓については、まず英国での承認取得と初期商業化を優先しつつ、MHRA審査の過程で求められる小児試験のデザイン完了や各国別の規制要件の初期評価、償還(リimbursement)準備を進めています。DCVax‑Direct(切除不能腫瘍向け)の技術移転とプロセス開発はSawstonで進行中であり、同社は英国での製造適合性を整備した後にグローバル供給を目指す計画です。また、米国を含む他地域での製造パートナー交渉や、臨床試験のIND提出準備、コンパッションユース拡大といった複数の拡張路線を並行して検討しています(Sawston施設では商用ライセンス取得等のために複数のワークストリームを設定し、達成時にマイルストーンが発生する契約構造になっています)。

技術革新には継続的に投資しており、既存プラットフォームの改良や新ブースター剤との組合せ検討、外部からの知財導入も行っています。具体的にはRoswell Park由来のIPの臨床応用、DCVax‑Directの新製剤バージョン開発、FlaskworksのGMPプロトタイプ機器の改良と小型化、Grade Cラボ構想による設備投資削減策などを推進しており、これらは製造効率化とスケールアップの実現を通じて商業的実現性を高めることを狙いとしています。これらの取り組みは多額の先行投資と規制リスクを伴うため、同社は承認・資金調達と並行して技術面の優位性を高める戦略を採っています。