nVent Electric plcNVT

時価総額
$163.4億
PER
電気接続・保護ソリューションの世界最大手。エンクロージャー、液冷、ケーブル管理製品を展開。2024年7月のTrachte買収(6.88億ドル)や2023年のECM買収で買収。米国・欧州中心にグローバル展開。

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企業概況
122文字)
業績概況
テーマ
ブランド
2項目)
ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

nVent Electric plcは、電気設備の接続と保護に関する製品やソリューションを設計・製造・販売し、重要な機器や施設の安全性と稼働の信頼性を高める事業を行っています。同社は筐体や冷却装置、配線管理や電力接続といったハードウェアを中核に、設置や保守まで含めた一貫したサービスを展開しています。

同社の主要な顧客は大手データセンター事業者、電力会社、機器を作るメーカー、配電盤メーカーや施工業者などで、世界各地の地域拠点を通じて販売しています。収益構造は製品販売が中心で、2024年の売上は筐体関連が約61%、電気・締結ソリューションが約39%を占めました。

事業は大きく二つのセグメントに分かれており、筐体セグメントはデータセンターや制御設備向けの保護・冷却ソリューションを扱い、電気・締結セグメントは配線管理や電力接続など施工効率と安全性を高める製品を扱っています。なお、熱管理ビジネスは分離され、同社は2025年1月に当該事業を売却して連結報告から切り離しました。

経営方針

同社は成長戦略として、インフラ需要やデジタル化といったメガトレンドを取り込み、差別化された収益成長を実現することを目指しています。実際に2024年の売上高は30.06億ドルで前年から12.6%増加し、営業利益は5.27億ドルと13.9%増加しました。2025年の運営目標には、高成長分野や新製品・イノベーションへの注力、グローバル展開と買収による拡大、在庫削減による運転資本の最適化、そして持続可能性やガバナンス強化が含まれており、差別化した売上成長を達成することを目指しています。

同社は重点投資分野として、筐体(Enclosures)と電気・高締結(Electrical & Fastening Solutions)の二つの事業を掲げています。筐体はデータセンター向けの液冷などの製品で差別化を図り、電気・高締結は施工時間短縮や安全性を高める製品で競争優位を築いています。研究開発費は2024年に6610万ドルと前年より約19.7%増加しており、製品差別化と生産性改善のためのデジタル化や生産効率化にも投資しています。

同社は外部成長にも積極的で、2023年に約11億ドルでECM Industriesを、2024年に約6.875億ドルでTrachteを買収するなど戦略的買収を通じて製品群と地域展開を拡大してきました。一方で事業ポートフォリオの最適化として、サーマルマネジメント事業を2025年1月30日に17億ドルで売却しており、資本配分は買収と株主還元(取締役会は2024年に最大5億ドルの自社株買い承認、2024年中に1億ドルを買い戻し)で行っています。さらに、受注残(バックログ)は2024年末で7.493億ドルに増加しており、インフラ分野を中心に中長期の案件獲得を見込んでいます。

同社は技術革新を成長の原動力と位置づけ、デジタル変革と接続型製品の開発を強化しています。製品面では液体冷却やエネルギー効率の高い保護筐体など、顧客のダウンタイム低減や省エネに資するソリューションに注力し、業務面では「Spark」と名付けた人材・成長・改善・デジタル・迅速性の5要素で組織力を高めています。人工知能やデジタル技術を活用して新製品の開発速度を上げ、サプライチェーンの回復力と運用効率を改善することで、持続的な競争優位を目指しています。