NOVA LTD.NVMI

時価総額
PER
半導体製造向けプロセス制御用メトロロジー機器の最大手。光学、X線、化学の次世代メトロロジーポートフォリオを展開。2025年1月30日に独メトロロジー企業を約6,000万ドルで買収。イスラエル拠点で、米国・欧州・台湾・韓国・日本・中国・シンガポールで展開。

事業内容

NOVA LTD.は半導体製造の工程制御で使う高精度な計測装置と解析ソフトを主に手がける企業です。同社はハードウェアとソフトを組み合わせて製造の各段階で品質や歩留まりの最適化を支援しています。

主要顧客は世界の大手半導体メーカーで、売上の多くが数社に集中しているため業績は顧客の設備投資動向に左右されやすいです。同社の収益は装置販売が中心で、導入後の保守やソフト・解析サービスも継続的な収入源となっています。

事業は寸法測定、材料(化学)測定、X線を用いた検査などの製品ラインに分かれており、これらを組み合わせたソリューションで先端用途に対応しています。同社はソフトウェアや機械学習の強化、化学測定の拡充、そして後工程向けツールを持つ企業の買収などで製品ポートフォリオを広げ、グローバルな生産・サービス体制と業務システム投資で供給力と効率の向上にも取り組んでいます。

経営方針

同社は2027年までに売上高10億米ドルを達成することを明確な成長目標に掲げています。直近では製品売上の過去5年間(2019–2024)の年平均成長率が約24.5%で、2024年の売上は前年比30%増と好調で、製品売上は約5.38億米ドルに達しました。こうした実績を背景に、同社は有機的成長と買収を組み合わせて規模を拡大し、顧客基盤・技術・収益の各面での飛躍的な拡大を目指しています。

同社は重点投資分野として、寸法(ディメンショナル)、材料、化学の各メトロロジー(工程管理のための計測技術)を挙げています。ハードウェアとソフトウェアの連携を進め、物理モデルを補完する機械学習や人工知能(AI)を製品に組み込むことで差別化を図っています。具体的には、光学CDのスタンドアローン製品や材料・化学メトロロジーで過去最高の販売実績を更新し、新製品群のElipson、Metrion、AncoSceneの普及を進めることで、他社にない「寸法+材料+化学」を一括して提供できるポートフォリオを強化しています。

新市場開拓では先端パッケージング分野と、先端ロジックやメモリ(3D‑NAND、DRAMなど)の最先端ノードを狙っています。2025年に約6,000万米ドルで買収したドイツのSentronicsを加え、ウェハーレベルパッケージや特殊デバイス向けのモジュール式寸法計測を取り込み、製品ラインの幅を広げる計画です。加えて生産施設・事務所の拡大や、受注から保守までを支えるERP/サービスCRMの刷新でグローバル供給能力を高め、顧客要求に迅速に対応する体制構築を進めています。

技術革新への取り組みとしては、研究開発への継続投資と顧客・研究機関との共同開発を通じて新たな成長エンジンを生み出す方針です。物理ベースの解析に機械学習を組み合わせたアルゴリズム開発、インラインでの材料プロセス制御手法、化学メトロロジー製品の強化などを進め、製品の統合提供(Integrated)と単体提供(Standalone)の双方で世代交代を実行しています。またESGの取り組みを強化し、持続可能性や安全性をビジネス文化に組み込む投資も継続しています。