NUCOR CORPNUE

時価総額
$381.8億
PER
鋼鉄の製造・鋼製品販売の北米最大手。EAF製鋼で板・形鋼・棒鋼、ジョイストや鋼デッキなどの製品群を展開。2024年7月に高性能オーバードア事業を約5.65億ドルで買収、2022年6月に商用オーバーヘッドドア大手を約30億ドルで買収。米国・カナダ・メキシコ中心に展開。

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企業概況
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業績概況
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同業種の日本企業
4社)

事業内容

NUCOR CORPは米国を拠点に鉄スクラップを原料として電気炉で鋼を生産し、鋼板やプレート、構造材、棒鋼、鋼管などの汎用鋼材と、それらを活用した付加価値製品を製造しています。倉庫や工場向けの屋根・床用支持材や断熱パネル、商業用のオーバーヘッドドアなども主力製品に含まれます。

同社の主要な顧客は非住宅建設、インフラ整備、製造業、素材流通業者(サービスセンター)などで、売上はこれらの分野向けの出荷に大きく依存しています。販売は主に自社の営業網で行い、工事単位の固定価格契約や入札による受注が多く、事業内での鋼材の内部移転も一定割合を占めます。

事業は大きく「製鋼」「鋼材製品」「原材料」の三本柱に分かれており、製鋼部門では各種鋼板や構造用のビーム・杭、棒鋼を製造しています。鋼材製品部門はジョイストやデッキ、金属建築システム、鉄筋の加工・据付、断熱パネルや各種ドアといった完成品・施工サービスを提供し、原材料部門はスクラップの調達や直接還元鉄などの素材供給・取引を担っています。

経営方針

同社は「Grow the Core, Expand Beyond and Live Our Culture」を掲げ、既存の製鋼事業を堅持しつつ高付加価値分野へ拡大することを成長戦略の柱に据えています。具体的には、長期的に純利益の少なくとも40%を配当と自社株買いで株主還元する方針を示しており、2024年には自社株買いで約22.2億ドル、配当は通年で1株当たり2.16ドル(四半期配当は0.55ドル)を支払いました。加えて、製鋼販売量は2024年に約1,848万トンを外部顧客に販売しており、成長投資と安定的なキャッシュリターンの両立を目指しています。

同社は差別化のために「効率的な製造能力」と「原料の一部内製化」を重点投資分野としています。製鋼は主にスクラップを用いた電気炉(EAF)で生産し、還元鉄(DRI)やスクラップの仲介・加工事業にも投資して原料コストの柔軟性を高めています。加えて、塗装ラインや付加価値製品の設備投資、買収による事業拡張(C.H.I.買収:約30億ドル、Rytec買収:約5.65億ドル、CSIの過半数取得など)で製品ポートフォリオを広げ、全国規模の生産拠点と業界内での低コスト体質、従業員の成果連動型賃金制度を強みとしています。財務面では総資本に対する有利子負債比率が約25%、現金等は約41.4億ドルとし、格付け(S&P、Fitch、Moody’s)も同業で高水準を維持しています。

同社は新市場開拓と事業拡大を積極的に進めています。屋内外向けの高性能オーバードア市場や断熱金属パネル、倉庫向けのラックソリューション、太陽光地上架台向けのトルクチューブなど、従来の鋼材販売に加えて建設・インフラ・再生可能エネルギー分野への横展開を図っています。例えばVulcraft/Vercoの年間ジョイスト生産能力は約74.5万トン、デッキは約56万トンといった既存の供給能力をベースに建築・物流向け需要を取り込むほか、地域戦略では西部拠点の強化(CSI)や海外向け流通網の活用で販売チャネルを拡大しています。貿易政策や輸入動向の影響も受けるため、同社は関税・救済措置の動向を注視しつつ契約や価格調整でリスク管理を行っています。

同社は技術革新により生産効率と環境性能の両面を改善することを目指しています。電気炉と連続鋳造、自動化された圧延設備の活用で稼働の柔軟性とコスト競争力を高め、近年は塗装設備投資や工程自動化、DRIなど低炭素原料への取り組みを進めています。さらに、買収先の技術や顧客基盤を統合して高付加価値製品の開発スピードを上げるとともに、のれんや事業価値の評価を厳格に行う体制を維持しており、事業継続性と投資回収を念頭に置いた技術・設備投資を継続しています。