Nutanix, Inc.NTNX

時価総額
$140.9億
PER
ハイブリッドマルチクラウド向けクラウドソフトウェア事業の有力企業。ハイパーコンバージド基盤とエンタープライズAI対応のプラットフォームを展開、26,000超のエンド顧客基盤。2023年11月のVMware買収による顧客移行機会。米国サンノゼ本社を拠点に世界主要地域で展開。

事業内容

Nutanix, Inc.は企業向けのクラウド基盤ソフトウエアを開発・販売する会社です。同社はオンプレミスとパブリッククラウドをつなぐ統合プラットフォームを中核に、サーバーやストレージの機能を一つにまとめたソフトウエアと、それを動かすための専用アプライアンス向けソリューションを提供しています。企業のシステム運用の簡素化やアプリケーションの近代化、AI対応の基盤整備を支援しています。

同社の顧客は大企業や公共機関、クラウドやサービスプロバイダーなど幅広く、2024年7月時点で2万6千社超、うちグローバル2000企業が約1,060社含まれます。収益は主にソフトウエアのサブスクリプションと保守・サポートの継続収入が中心で、契約の更新(リニューアル)による定常的な売上が業績の柱になっています。販売は自社の営業チームに加え、再販業者やOEM、クラウド事業者といったパートナー経由でも行っています。

事業面ではコアのハイパーコンバージド型プラットフォームに加え、クラウド管理、災害復旧、データガバナンス、ファイル・オブジェクトストレージ、データベース自動化やコンテナ(Kubernetes)管理といった周辺製品群を展開しています。ハードウエアは自社で製造せず外部メーカーが製造する仕組みを取り、ソフトウエアとサブスクモデルを軸に成長を図っています。研究開発投資を続けてハイブリッドマルチクラウドや企業向けAI対応を強化している点も特徴です。

経営方針

同社はサブスクリプション型のビジネスモデルを基盤に、持続的かつ利益を伴う成長を目指しています。2024会計年度の売上高は約21.5億ドル、総請求額(非GAAPベース)は約24.1億ドルに達し、営業キャッシュフローは約6.7億ドル、非GAAPのフリーキャッシュフローは約6.0億ドルと改善しています。経営は成長投資と運転キャッシュフロー改善のバランスを取る方針で、株主還元としても2023年8月に設定した最大3.5億ドルの自社株買い枠を活用し、2024年度は約2.61百万株・約1.31億ドルを買い戻しました。

販売・マーケティング分野への投資は引き続き重視しており、同社は主要顧客や大型案件を優先してパイプラインを拡大することを目指しています。グローバル営業チームの約79%はすでにフルに立ち上がっており残り約21%が育成中で、平均して入社後4四半期目にフル生産性に達すると見込んでいます。一方で同社は販売費用を売上比で徐々に下げる計画を掲げ、需要創出費用の効率化、更新(リニューアル)施策への注力、チャネルやOEMパートナーの活用拡大、地域ごとの人員最適化といった具体策で差別化と収益性の両立を狙っています。

事業拡大では「ランディングして拡大する(land-and-expand)」戦略を推進し、既存顧客への追加導入や更新を重視すると同時に新規顧客獲得も継続しています。顧客基盤は2024年7月時点で約26,000社、そのうち約1,060社がグローバル2000企業で、OEMやチャネル、クラウドのエコシステムと連携して市場範囲を広げています。ハイブリッド・マルチクラウドを中核に据えることで、オンプレミスからクラウドまで一貫した利用を提案し、大型案件やエンタープライズAI関連の機会取り込みを図る方針です(ただし、買収や提携は慎重に運用し、統合コストやリスクも想定しています)。

技術革新への取り組みも経営戦略の柱で、同社は研究開発とエンジニアリングに長期投資を行い、プラットフォーム機能の拡張やエコシステム連携を強化することを目指しています。特に生成系AIやモダンなアプリケーションの対応を重視し、サンノゼやインド、ノースカロライナ、セルビア、ドイツ、英国など複数拠点で研究開発を展開しています。知的財産面でも米国で発行済み特許が513件、出願中が168件と積極的に保護を行い、ソフトウェア中心のプラットフォームで差別化を図る戦略です。