NextSource Materials Inc.NSRCF

時価総額
$2883万
PER
鉱山開発の新興企業。探鉱・開発・処理プラント建設を展開。2021年にVision Blueが出資、2022年6月30日時点の発行済株式数101,872,614株、2022年6月30日決算の年次報告書提出。カナダ・マダガスカル中心に展開。

事業内容

NextSource Materials Inc.は、主にリチウムイオン電池向けの原料である天然フレーク黒鉛(グラファイト)の開発・生産を手がける資源開発会社で、マダガスカルのMolo鉱床などの鉱山開発と選鉱設備の構築を中心に事業を進めています。高品質なグラファイトを安定供給することで、電気自動車や蓄電池向けの素材サプライチェーンに参入することを目指しています。

同社の主な顧客対象は電池メーカーや自動車メーカー、それらに部材を供給する加工業者などで、長期的な供給契約(オフテイク)を通じた販売を想定しています。現時点では開発投資や資金調達が中心で、採掘・加工が本格化すれば鉱石売上や加工製品の販売から収益を得る構成に移行する見込みです。

事業は大きく採掘・探査、選鉱(濃縮)、そして下流の加工・精製の三つに分かれています。まずは原料となるフレーク黒鉛の採掘と濃縮に注力し、その後に電池用に適した形状・純度に加工する工程まで整備してバリューチェーンを高める戦略を取っています。

経営方針

NextSource Materials Inc.の成長戦略は、保有するマダガスカルのMoloグラファイト鉱床の早期商業化を中心に据えています。同社は年度末を2022年6月30日に定めており、同年時点で発行済普通株式は101,872,614株となっています。成長実現のために複数回の資金調達を行っており、2018年から2021年にかけて私募やワラント発行(例:2018年8月、2019年10月、2020年7月、2021年5月)を実施して設備建設と操業立ち上げ資金を確保している点が特徴です。財務・運営面では、鉱山建設と処理プラントの完成を第一段階の数値目標とし、資産計上や建設進捗を四半期ごとに開示しています。

重点投資分野としては、鉱山の現地インフラ整備と原料処理設備への資本支出を優先しています。同社はMolo鉱山の採掘工事、処理プラントとそれに伴う宿舎・道路などのキャンプ・プロパティ整備に具体的な投資を行っており、技術・運営面では高品質のフレークグラファイト生産に注力しています。差別化戦略としては、鉱山から加工までの一貫した体制を構築することで品質管理を強化し、オフテイクや戦略的投資(公開資料にあるVision Blueとの合意など)を通じて販売先の安定化を図っている点が挙げられます。加えて、役員・従業員向けのストックオプションや長期インセンティブ制度を整備し、経営陣のコミットメントを高める施策も実行しています。

新市場開拓と事業拡大の計画では、まずMolo鉱山の商業生産を起点に、電池材料や高付加価値用途を含む需要家への供給網を拡大することを目指しています。同社は処理能力の段階的増強や追加的な設備投資で生産量と製品幅を広げる方針を示しており、開発段階の資産を活用して市場ニーズに応じた製品改良を進める計画です。具体的には、処理プラントの稼働開始後にオフテイク契約の拡充や輸送・ロジスティクス体制の強化を通じて、主要市場への安定供給を確保する取り組みを優先します。

技術革新への取り組みとしては、原料から製品までの品質向上と工程効率化を目的に研究開発と試験設備への投資を行っています。提出資料では研究開発・特許関連の開示があり、同社は処理プロセスの最適化、粒度や不純物管理の改善、及び高付加価値製品化のための検証試験を進めています。これらは現場での設備導入と並行して実施され、商業稼働後の収益性改善につなげることを狙っている点が投資家にとっての注目ポイントです。