NERDWALLET, INC.NRDS

時価総額
$9.9億
PER
個人向け金融情報プラットフォームの米国有力企業。カード、住宅ローン、保険、投資など8領域で比較・提案機能を展開。2022年7月のデータ系スタートアップ買収や2021年のNASDAQ上場が実績。米国中心に英国、カナダ、豪州へ展開。

事業内容

NERDWALLET, INC.は消費者向けのパーソナルファイナンス・プラットフォームを運営しており、クレジットカードや住宅ローン、保険などの金融商品を比較・検討できる情報とツールを提供しています。同社は分かりやすい解説記事や計算ツール、レコメンデーションを通じて利用者の意思決定を支援しています。

主要な顧客は個人の利用者と金融サービス事業者で、クレジットカード発行会社や貸し手、保険会社、モーゲージ業者などが含まれます。同社は消費者をパートナー企業にマッチングさせ、その成果に応じた手数料やデジタル広告収入を主な収益源として稼いでいます。事業の中心は米国市場で、広告支出の増加が成長の原動力になっています。

事業は「Learn(学ぶ)」「Shop(比較)」そして「Manage(管理)」の三本柱で構成され、記事、計算機、動画、ポッドキャストや比較ツールを組み合わせてサービスを提供しています。扱う分野はクレジットカード、住宅ローン、保険、中小企業向け商品、個人ローン、銀行、投資、学生ローンの八つに及び、同社はデータと機械学習を活用して利用者ごとに最適な提案を強化しています。

経営方針

同社は持続的なトップライン成長と収益性の改善を両立させることを目指しています。2024年は調整後EBITDAが前年から10%増の約+10.3百万ドル、純利益は30.4百万ドルに転換し、2023年の純損失11.8百万ドルから大きく改善しました。市場機会としては、同社が主に狙う米国の金融サービス向けデジタル広告市場が2024年に360億ドル超と見込まれ、デジタル化の進展に伴い年率二桁成長が続くと想定される点を踏まえ、トラフィック拡大とユーザーの定着率向上を通じた収益拡大を狙っています。経営は自社株買いも成長戦略の一環と位置付けており、取締役会は累計で最大約1.25億ドルの買戻し枠を承認、2024年には650万株を計80.4百万ドルで取得しました。

同社は編集による信頼性の高い情報提供と高度なパーソナライズを両輪に重点投資を行うことで差別化を図っています。消費者向けの「学ぶ」「比べる」「管理する」といった体験を編集チームの高品質な記事・ツールで支え、機械学習を用いてユーザーと金融サービス提供者のマッチング精度を高めることに注力しています。具体的にはクレジットカード、住宅ローン、保険、中小企業向け商品、個人ローン、銀行・投資・学生ローンの八つの領域を中心に、プロダクト開発やマーケティング、技術人材への投資を強化しています。一方で2024年には事業の効率化を図るため再編を実施し、従業員数を2023年末比で約15%削減、再編費用として900万ドルを計上しました。

同社は海外市場の開拓や事業領域の拡大を戦略の柱としています。既に英国、カナダ、オーストラリアに進出しているものの、収益基盤は依然として米国が中心であり、国際展開の拡大と新規の金融バーティカルへの展開でアドレス可能市場を広げる方針です。成長のための手段としては、事業買収やパートナー提携も積極的に活用しており、例として2022年7月のOn the Barrelhead買収では約1.18億ドルの対価を支払い、のれん約6,810万ドルを計上して技術と人材を取り込みました。資金面では主に営業キャッシュフローと既存の現金・信用枠を用いる計画で、2024年末の現金同等物は約66.3百万ドル、短期の非取消し購入義務は次12カ月で約18.4百万ドルと開示しています。

同社は技術革新を成長の中核に据えており、機械学習やデータ活用によるマッチング精度向上に継続投資しています。ユーザーからの一次データ、第三者データ、信用情報などを分析して個々の利用者に最適な商品を推薦する仕組みを強化し、これが金融サービス提供者にとっても高品質なリードを生むというネットワーク効果を目指しています。また、自社開発ソフトウェアへの投資やクラウド基盤、ウェブホスティングなどの運用体制にも資源を配分しており、将来的にはパーソナライズをさらに深めてコンバージョンとリピート利用を高めることを狙っています。