NEUROONE MEDICAL TECHNOLOGIES CorpNMTC

時価総額
$3534万
PER
神経疾患向け医療機器開発の新興企業。皮質ストリップ、グリッド、深部電極の薄膜マイクロ電極技術を展開。2024年8月の私募で約265万ドルを調達、同年10月に大手医療機器企業と排他的開発・販売契約を締結。米国中心に展開。

事業内容

NEUROONE MEDICAL TECHNOLOGIES Corpは、てんかんやパーキンソン病などの神経疾患の診断・治療を目的とした医療機器を開発・商用化する企業です。同社は主に皮質ストリップ・グリッド電極や深部電極を中心とした脳活動の記録、神経刺激、アブレーションに関わる機器とそれに付随するモニタリング技術を開発しています。

同社の主要顧客は病院や脳神経外科医などの医療機関で、最終的な利用者は患者とその介護者です。収益構造は米国内での電極機器販売に依存しており、購入費の大部分が民間保険や他の第三者支払者による償還にかかる見込みで、現状は商業化初期で売上は限定的なため外部資金に頼る状況が続いています。

事業は大きく、(1)cEEG/sEEG用の皮質ストリップ・グリッド・深部電極、(2)それらを用いた神経刺激やアブレーション向けソリューション、(3)流通や提携による商業化活動に分かれます。各製品は臨床データと規制承認の獲得が必要で、既存の大手医療機器メーカーとの競争、医師による採用の遅れ、保険償還の不確実性が成長の主要な課題となります。

経営方針

同社は製品の商業化を通じて売上基盤を拡大し、持続可能な事業へ移行することを目指しています。これまでにEvoの皮質電極(2019年FDA 510(k))や深部電極(2022年同認可)、OneRFアブレーションシステム(2023年同認可)といった製品の承認を得ており、製品販売と協業収入を主な成長源と位置づけています。一方で設立以来の損失は累積で約7,500万ドルに達し、2024年9月30日時点の手元資金は2025年4月までの操業資金見込みとされているため、同社は資金調達を並行して進めることで収益化までの期間を繋ぐことを目指しています。

同社は重点的に脳波記録・刺激用電極と神経組織を標的とする凝固(アブレーション)技術に投資しており、製品の差別化は「感染リスクの低減」「より広範な脳活動の記録」「低侵襲で扱いやすい設計」「費用対効果」にあります。これらを実現するために臨床データの蓄積や品質管理、製造体制の整備へ資金と人材を振り向ける計画であり、研究開発費と販売体制の強化により既存大手製品との差別化を図ろうとしています。

新市場開拓では外部パートナーとの協業を重視しており、具体策として2024年10月にZimmerとOneRFの独占販売・ライセンス契約を結び、前払金として3.0百万ドルを受領、一定売上達成でさらに1.0百万ドルを受け取る可能性があります。資本面では2024年8月の私募で約2.65百万ドルの総額調達(普通株式約2,944,446株とワラント約2,208,333件)を実施し、同時に資本調達のための市場売出し枠(ATM)も保有していますが、借入枠(最大3.0百万ドル)は相互合意で取り下げられるなど流動性確保の手段を組み合わせている点も特徴です。株式希薄化の可能性やNASDAQの最低株価基準への適合リスクが残る点も投資家は注視すべきです。

技術革新への取り組みとしては、既存のFDAクリアランス製品の改良と次世代技術の開発に注力しています。特許ポートフォリオの活用や学術機関、主要意見形成者との連携を通じて臨床エビデンスを積み上げることを重視し、長期的には手術侵襲の低減や治療成績の向上で市場採用を促進することを目指しています。なお、研究開発や商業化には追加資金が不可欠であり、同社は今後も株式や債務による資金調達を行いながら技術と実需の両面で成果を示すことを計画しています。