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ANNALY CAPITAL MANAGEMENT INCNLY
事業内容
ANNALY CAPITAL MANAGEMENT INCは、主に住宅ローン関連の資産に投資して配当を行う上場の投資運用会社(REIT)です。同社は自己資本と借入金を組み合わせて住宅ローン担保証券や個別の住宅ローン、住宅ローンのサービス権といった不動産関連資産に投資し、保有資産の利回りと資金調達コストの差で収益をあげています。
主要な顧客やステークホルダーは同社の株主および証券や債権の投資家、証券化取引の買い手や取引先の金融機関などの機関投資家です。収益構造は主に資産からの利息収入やスプレッド、サービス権に伴う手数料、証券化や売買による差益が中心です。
事業は大きく三つの投資グループに分かれており、公的保証のあるエージェンシー資産、非エージェンシーの住宅ローンや証券化商品、そして住宅ローンのサービス権を運用しています。加えて、同社は子会社による私募の証券化プログラムを実施し、短期借入や金利ヘッジ等の金融取引を活用してリスク管理と資本効率の向上を図っています。
経営方針
同社は安定した配当と資本効率の向上を成長の大きな柱としています。具体的には四半期配当を基本方針としつつ、資本政策で強固なバランスシートを維持することを重視しており、経済的レバレッジ比率を原則10倍以下に抑える目標を掲げています。実際には2007年以降は8倍未満、COVID‑19以降は概ね7倍前後で運用してきており、2024年12月31日時点の経済的レバレッジは約5.5:1、GAAPベースのレバレッジは約7.1:1、資本率は経済基準で約14.6%(GAAPで約12.3%)となっています。資本面では市場での株式発行(AT‑the‑marketで合計最大15億ドル枠)や自社株買い(普通株1.5億ドル枠、優先株は最大6,350万株・清算価値で約16億ドル相当まで許可)を活用し、柔軟に自己資本と負債の組み替えを図っています。
投資の重点分野は三つの投資グループに集約されています。第一に政府系保証付きの住宅ローン担保証券(Agency MBS)を中核とし、2024年末で資産構成の約87%を占める一方、自己資本配分では約59%を充てています。第二に新規起源の住宅ローンや私募の証券化を通じた住宅クレジット事業で、2018年以降OBXという自社主導のプライベート・セキュリタイゼーションで累計約310億ドルを発行し、2024年だけで21回、110億ドルの発行を実現しました。第三に住宅ローンの「サービシング権利」(MSR)投資で、運用上の収益源を分散しています。差別化点としては自社の共有資本モデルにより資金を割り振って相対的価値に応じて迅速に回転させること、主要ローン提供者や大手ソブリンファンド(GIC)との戦略的提携により安定したローン供給を確保していること、そして社内の分析力と関係先ネットワークで高い取得競争力を維持している点が挙げられます。
新市場開拓と事業拡大は既存の住宅クレジットとMSRの拡大に軸足を置いて進められています。具体的にはOBXプログラムを通じた新規ローンのプログラム的な証券化を継続し、外部の資本パートナーを取り込みながらスケールを拡大しています。またM&Aや戦略的提携も選択肢としており、過去には他社ポートフォリオの譲受や第三者との共同投資を通じて事業領域を拡大してきました。流動性確保では、レポ(買戻し担保)を梯子型で運用し平均満期を約32日に管理するなど短期資金の安定化を図るとともに、売却や償還で得た資金(2024年は回収・売却で数十億ドル規模)を再投資や自社株買いに充てることで株主還元と成長投資を両立しています。
技術革新には継続的に投資しており、同社は取引前の分析から決済、資金調達、与信管理、会計までを一貫して支えるプロプライエタリ(自社開発)の分析ツールと業務基盤を整備しています。例としては例外処理を中心とした自動化フロー、ペーパーレス化、集中化した担保管理により決済と担保運用のコントロールを強化しており、サイバーセキュリティやデータ品質管理にも注力しています。これにより異なる資産クラス間での迅速な資本配分とコスト効率の向上を実現し、変化する市場条件でもスピード感ある運用が可能になることを目指しています。