NIKE, Inc.NKE

時価総額
$899.9億
PER
アスレチックフットウェア・アパレル事業の世界最大手。高機能な競技用シューズ、アパレル、スポーツ器具とデジタルフィットネスアプリを展開。Swoosh, LLCが2024年6月28日現在で約77%保有、2023年12月に企業改革を発表。世界190以上の国・地域で展開。

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企業概況
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業績概況
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テーマ
3項目)
ブランド
3項目)
ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
5社)

事業内容

NIKE, Inc.はスポーツ用の履物、スポーツウエア、用具を企画・設計し、世界中の消費者に販売する企業です。デザインと技術革新、広告やスポーツ選手の起用を通じてブランド力を高め、デジタルサービスを含む消費者向け体験を強化しています。

同社の主要な顧客は一般消費者と小売業者で、販売チャネルは直営の店舗や公式サイトによる直販と、専門店やデパートなどへの卸売で成り立っています。直販の拡大や季節変動が収益に影響を与え、地域ごとの売上構成も業績にとって重要です。

同社は主力のNIKEブランドを中心に、男性向け・女性向け・子ども向けの製品を展開し、バスケットボール文化を基盤とするJordanブランドや、カジュアルスニーカーを扱う子会社のConverseも運営しています。商品は履物、スポーツウエア、アクセサリーや用具に分かれ、コレクションやライセンス商品、フィットネスアプリなどのデジタル製品も事業の一部です。ほとんどの履物と衣類は外部の契約工場で生産しています。

経営方針

同社は中長期での収益成長と利益率改善を両立することを目指しています。具体的には2023年12月に発表した「エンタープライズ・イニシアチブ」を通じて、商品構成の簡素化や業務の自動化によるコスト削減を図り、将来の成長投資に回す方針です。この取り組みに伴い、従業員の退職手当やストックベースの報酬の前倒しなどで約4.5億ドルの特別費用を見込んでおり、その大部分は2024会計年度に計上され、現金支出は2025会計年度上半期中に概ね完了する予定です。また株主還元では、2022年6月承認の4年で180億ドルの自社株買い枠の下、2024年5月末までに約84.9百万株、約91億ドルを消化しており、資本効率の改善も追求しています(2024年の当期純利益は約57億ドル、希薄化後1株当たり利益は約3.73ドル)。

同社は重点投資分野として、製品イノベーションとブランドづくり、そしてデジタルを軸とした顧客接点強化に重点を置いています。競争優位性の源泉として、バイオメカニクスや素材化学、運動生理学などを横断する研究開発チームとアスリートの知見を活用し、高機能な履物・衣料を継続的に投入しています。同時にサプライチェーンや業務システムの統合・自動化へ投資を進めており、内部用ソフトウェアの資産は2024年5月時点で約18億ドルに上るなど、運営基盤のデジタル化で差別化を図っています。ブランド面ではNIKE本体に加え、JordanやConverseといった区分けでの戦略的展開により、多様な消費者層への浸透を目指しています。

同社は新市場開拓として、直接販売チャネル(デジタルコマースと直営店)を拡大することでマージン改善と顧客データの蓄積を強化しています。特に中国やアジア太平洋地域は重要な成長機会と位置づけられており、地域別の製品やマーケティングを強化しているほか、卸売やライセンス事業も適宜見直して最適化を進めています。サプライヤーとの関係では、第三者が提供する請求書早期決済の仕組みを通じて確認済みの債務が約8.4億ドルあるなど、流動性面の管理も行っています。これらを通じて、同社は既存市場での深耕と新たな顧客接点の獲得を両立させることを目指しています。

同社は技術革新を製品と体験の両面で推進しています。先端素材や成形技術と並んで、消費者向けのデジタルサービス(フィットネスアプリやコンテンツ、店内のデジタル機能)への投資を拡大しており、これらは顧客ロイヤルティ向上とデータに基づく商品開発に直結しています。さらに、業務プロセスの中央集約と自動化を長期プロジェクトとして継続しており、これにより内部統制や財務報告の精度も高める計画です。為替や市場リスクについてはヘッジ等の金融手段を用いて管理しており、技術・運用両面での革新が収益安定化と差別化の鍵になると同社は考えています。