Nisun International Enterprise Development Group Co., LtdNISN

時価総額
PER
中小企業向け金融とサプライチェーン取引の新興企業。AIのインテリジェントマッチングと在庫・物流管理プラットフォームを展開。2020年1月にサプライチェーン金融を開始、2024年の売上の73%が取引事業、2024年11月に子会社売却の実績。上海、鄭州、北京など中国国内中心の展開。

事業内容

Nisun International Enterprise Development Group Co., Ltdは、AIを活用した賢いマッチング型の調達プラットフォームを中心に事業を展開しています。顧客が購入希望を投稿すると同社のシステムで適切な仕入先を選定し、同社が独立したベンダーとして仕入れ・手配し、仕入先から顧客へ直接配送する形で取引を仲介しています。合わせて倉庫管理や物流、在庫回転に伴うベンダーリスクも引き受ける供給網取引を行っています。

主な顧客は中国国内の中小企業(サプライチェーン上の企業)や金融機関、大型の国有企業などで、収益は供給網取引が大半を占めています。直近の年度では供給網取引が総収入の約73%を占め、残りは中小企業向けの融資などのサービス収入が占めていますが、大口顧客への依存度が一定程度ある点が特徴です。

事業は大きく三つに分かれ、中小企業向けの融資ソリューション、サプライチェーン向けの資金調達ソリューション、そして供給網取引ビジネスを展開しています。中小企業向けは投資家との連携で資金の流れを作る金融サービス、サプライチェーン向けは農業・物流・エネルギーなど特定産業に注力した融資、供給網取引は同社のマッチング機能を使った直接販売と物流・倉庫サービスで構成され、デジタル技術で効率化を図っています。

経営方針

同社は企業向け金融とサプライチェーン領域で「リーダーになること」を目指しています。成長戦略の柱は、サプライチェーン向けの融資、サプライチェーントレーディング、そして中小企業向け融資のエコシステムを拡大することです。財務構成では2024年においてサービス収入が全体の27%(そのうち中小企業向け融資が25%、サプライチェーンソリューションが2%)を占め、残り73%がサプライチェーントレーディングによる収入でした。具体的施策としては、閉ループ型の金融プラットフォームを広げて新規顧客に高度な融資・流通ソリューションを提供し、取引量とサービスプラットフォームの規模を拡大することで持続的な成長を図る方針です。

同社は重点投資分野として、サプライチェーン金融と中小企業融資、そしてそれに付随するトレーディング事業を掲げています。差別化要因は、政府系企業や金融機関との連携を軸にした「信用のある顧客層との取引」を通じてリスクを抑制する点と、自社の調達・物流・在庫・倉庫能力を組み合わせたワンストップ提供にあります。顧客集中の実情として2024年は金融サービス売上で上位4社が合計で約70%近くを占めるなど依存度が高い一方、同社は取引相手の財務状況を継続監視する仕組みで与信管理を強化しています。研究開発投資も重視しており、2024年のR&D費は約141万ドルを計上してプラットフォームやアプリの開発を進めています。

同社は新市場開拓と事業拡大に際して既存の関係深化を優先しています。国有企業(GOE)や戦略的パートナーとの協力を深めることで市場浸透を図り、2023年には上海石油天然気取引所との提携を通じてエネルギー分野へ進出しました。国内では上海、鄭州、亳州、北京、泰安、山東、ホルゴス(新疆)などに拠点を持ち、さらに地方での支店網拡充や業界別プラットフォーム構築で顧客層の拡大を目指しています。加えて、ナミ・ケイマン等の買収や合弁により中小企業向け融資基盤を強化しており、今後も戦略的買収や提携を成長手段の一つと位置づけています。

同社は技術革新を成長の中核に据えており、人工知能やビッグデータ、モノのインターネット、ブロックチェーンといった技術を業務に取り込みつつ、調達の「インテリジェント・マッチング」システムなど具体的なツールを運用しています。顧客が発注情報を投稿すると最適な仕入先を自動で抽出し、同社が独立ベンダーとして購入・発送を手配する仕組みは、取引の効率化と在庫管理の高度化に寄与しています。加えて技術基盤とサイバーセキュリティへの投資を継続し、プラットフォームの応答性と安全性を高めることで、変化の早い金融環境に対応していく方針です。