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NGL Energy Partners LPNGL
事業内容
NGL Energy Partners LPは、米国のミッドストリーム事業を手がけるパートナーシップで、特に油田から出る産出水(プロデュースド・ウォーター)の輸送・処理・再利用や廃棄を中心に事業を展開しています。その他に原油の輸送・貯蔵や天然ガス液(NGL)の端末運営も行っており、近年は精製製品やバイオディーゼル事業の売却・縮小を進めて事業の絞り込みを進めています。
同社の主要顧客は上流の生産者や精製業者、卸売・小売業者で、収益は業態によって異なります。水処理などは長期の固定料金契約による安定的な手数料収入が中心で、原油やNGLの取引は仕入れと販売の差額を稼ぐマージン型収益が主体で、物理契約の組合せやヘッジで価格変動リスクを抑えようとしています。
同社の事業セグメントは主にWater Solutions、Crude Oil Logistics、Liquids Logisticsに分かれます。Water Solutionsは大口径の産出水パイプラインやリサイクル・廃棄設備を運営し、Crude OilはDJ盆地やカッシングなどのターミナル・パイプライン・貯蔵を持ち、LiquidsはNGL端末、ミシガンのプロパン管、チェサピークのブタン輸出設備や大型のリース車両・貯蔵能力で需給に対応しています。近期の資産売却により同社は水処理を中核としたミッドストリーム事業への集中を図っています。
経営方針
同社はまず財務基盤の立て直しを最優先に据え、収益の安定化と慎重な成長を図っています。具体的には、2024年2月2日に総額29億ドルの債務リファイナンスを完了し、22億ドルのシニア担保付債(うち9億ドルは2029年償還の年利8.125%、13億ドルは2032年償還の年利8.375%)と7億ドルの7年物タームローンBを組成、さらに与信枠(ABL)を改定して満期延長を行いました。短中期の目標としては、9.00%のClass D優先持分や負債の削減、レバレッジ低下と十分な流動性の確保を掲げ、将来的には普通持分配当の再開を目指しています(発行済普通持分は132,012,766口、参考として2024年9月30日時点の非関連保有分時価は約4.65億ドルでした)。
投資の重点は「水処理(Produced Water)」を中核としたミッドストリーム事業にあります。同社は北デラウェア、DJ盆地、イーグルフォードといった主要産地の近傍に処理・輸送設備を保有し、井戸からの産出水をパイプラインで輸送して処理、地下処分、再生利用へつなげるネットワークを構築しています。これらは長期の固定料金契約や耕作地専属(acreage dedication)など最低流量保証を伴う契約で支えられており、商品価格の変動に左右されにくい安定収入の獲得を狙っています。直近の調整後EBITDAは約6.18億ドル(継続事業、2025会計年度)で、非中核事業の整理(燃料製品事業の売却やバイオディーゼル事業の縮小、2025年4月30日完了)により事業ミックスを簡素化し、コア領域に資本を集中させています。
事業拡大の方針としては既存の資産活用による有利な成長を重視しており、既設設備の余力を使った低コストの増量投資や、相補的な買収・ジョイントベンチャーを選択的に追求するとしています。具体的な案件では、2025年4月30日に天然ガス液体ターミナル17箇所および大部分の卸売プロパン事業を売却するなど、非中核資産の組替えを実行しました。また、将来的に生産者の要望に応じて貯留空間(ポアスペース)や処分井の確保、パイプライン建設が必要となるため、許認可リスクや資本支出の見極めを重視しつつ機動的に対応する計画です。契約に関連する将来支払見込み(偶発的考慮金)は、直近で約2481万ドルから約1579万ドルへと減少しており、対外債務や将来負担の圧縮にも取り組んでいます。
技術革新とリスク管理にも注力しており、同社は安全かつ環境配慮した運営を目指しています。Water Solutionsにおける処理・リサイクル技術は新拠点にも迅速に展開できる設計を重視し、在来のパイプラインと併せて循環利用率の向上を図っています。情報セキュリティ面ではCIO兼最高情報セキュリティ責任者が主導し、24時間365日の検知・対応体制を外部パートナーと共同で運用、四半期ごとの取締役会報告や年次のインシデント訓練を実施するなど、サイバーリスクの低減にも具体的な投資を行っています。同社はこれらを通じて、収益の安定化と成長機会の両立を目指しています。