NATIONAL FUEL GAS CONFG

時価総額
$72.9億
PER
天然ガスの生産・集荷・輸送・貯蔵・配給事業の大手。アパラチア盆地の探査・生産、パイプライン・貯蔵サービスを展開。2023年6月に約1.248億ドルで上流資産を取得。設立1902年、従業員数は2024年9月30日時点で2,311人。米国東部・カナダで展開。

ランドスケープPowered by 会社四季報オンライン

企業概況
101文字)
業績概況
テーマ
4項目)
ブランド
ライバル企業
4社)
同業種の日本企業
4社)

事業内容

NATIONAL FUEL GAS COは天然ガスの生産から輸送、貯蔵、配給までを一貫して手掛ける総合エネルギー会社です。同社はアパラチア盆地のマルセラスやユティカの資源を開発してガスを供給し、自社パイプラインと貯蔵施設を通じて米国東部やカナダの市場へ届けています。加えて、家庭や商業向けの都市ガス事業も行い、小口顧客への供給を担っています。

主要顧客は発電所や工場、地方のガス小売会社、家庭・商業ユーザーのほか、パイプラインや卸売の大口顧客が含まれます。同社は輸送・貯蔵の予約料金や配達料金で安定収入を確保する一方、天然ガスの販売や上流事業からの収入は価格変動で増減します。規制された料金体系や天候に応じた調整メカニズムで、季節変動の影響を管理しています。

事業は探査・生産(Seneca)、パイプライン・貯蔵(Supply Corporation、Empire)、集荷・処理(Gathering)、公益事業(配給)の四つのセグメントで構成しています。同社は上流の生産と中下流の輸送・配給を地理的に結びつけ、資産や人員を共有して効率を高める運営をしています。

経営方針

同社は成長と株主還元の両立を目指しています。探鉱・生産(E&P)部門では、2024会計年度に証明埋蔵量を前年から5%増の4,753 Bcfe、産出量を同じく5%増の392.2 Bcfeに伸ばしており、2025年度も生産の追加増加を見込んでいます。一方で財務面では、2025年に満期となる長期債務合計5億ドルの償還を含め、運転資金・手元資金・短長期借入を組み合わせて資金調達を行う計画を公表しており、2024年には総額2億ドルの自社株買い枠を取締役会が承認、当初実行分として約114.6万株(費用計65.2百万ドル)を取得しています。

同社は重点的にアパラチア盆地(主にマルセラス層とユーティカ層)に投資し、上下流の統合で差別化を図っています。西ニューヨークとペンシルベニアに集中した資産を共有運用することで管理・現場コストを圧縮し、集約された採掘地帯での効率を追求しています。中でもパイプラインと貯蔵の拡充や既存設備の近代化に注力し、TCエナジーとの接続点(チッパワ)などを通じてカナダや米北東部、米中西部・メキシコ湾岸へのアクセス強化を図っている点が競争上の強みです。開発リスクや価格変動に対しては、長期の輸送契約や価格ヘッジでキャッシュフローの安定化を図っています。

新市場開拓と事業拡大では、顧客向けの非系列案件でもパイプラインを設計・建設する事業を継続し、東部およびカナダ市場への供給を拡大することを目指しています。ただし全ての案件が実行されるわけではなく、例としてノーザン・アクセス計画は2024年に前提合意が解除され、同社は4,610万ドルの減損を計上しています。また、上流部門では2023年に約1.248億ドルで約3.4万ネットエーカーを取得するなど選択的な資産買収で成長ポートフォリオを強化しています。資本支出やプロジェクト採算は規制・市場条件や全社の資本配分方針で厳格に見直されています。

技術革新と持続可能性への取り組みも経営戦略の重要な柱です。同社は温室効果ガス削減について、2021年に2030年のメタン強度削減目標と統合後の絶対排出量目標、配達系統に関する2030年・2050年目標を設定し、2022年から進捗測定を開始しています。同社は設備の近代化や効率化で排出削減を図り、これらの目標達成を短期・長期の役員報酬に結びつけることでインセンティブを与えています。併せて、重要インフラ運営企業としてNIST準拠を参照したサイバーセキュリティ体制やインシデント対応チームを整備し、安全性と信頼性を担保することで、天然ガスの中長期的な位置づけを維持しようとしています。