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Cloudflare, Inc.NET
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事業内容
Cloudflare, Inc.は、世界中に分散したネットワークを使ってウェブサイトやアプリの通信を速く、安全に届けることを主な事業としています。主力サービスはウェブコンテンツの高速配信や攻撃から守るセキュリティ機能、ドメイン名の管理(DNS)などで、開発者向けのサーバーレス実行環境や一般向けの接続アプリも展開しています。
同社は個人の開発者や中小企業から大手企業まで幅広い顧客を持ち、無料プランを導入経路にして有料プランへの移行を促しています。収益は月次・年次のサブスクリプションと使用量に応じた課金が中心で、既存顧客への追加機能販売や上位プランへのアップグレードで売上を拡大します。中小顧客はウェブからクレジットカードで自動的に契約する一方で、大手企業は専任の営業やチャネルパートナー経由で契約することが多いです。
同社の製品ラインは大きく分けて、コンテンツ配信と性能改善、セキュリティと可用性、接続最適化、開発者プラットフォーム、消費者向けサービスのカテゴリに分かれます。これらは同じグローバルネットワーク上で連携し、顧客は必要な機能を組み合わせて利用できるため、新機能の追加やスケールアップが比較的スムーズに行えます。
経営方針
同社は長期的な成長を優先し、プラットフォームの利用拡大を目指しています。具体的には、2024年時点での有料顧客数は237,714社、そのうち年商換算で10万ドル超の大口契約顧客は3,497社に達しており、大口顧客の増加とアップセルを成長の柱としています。収益性は短期的に変動するものの、2024年の粗利益は約12.9億ドル、粗利率は約77%であり、営業損失は約1.55億ドルだった一方で非GAAPの営業利益は約2.30億ドルを計上しています。現金・有価証券を合わせた流動性は約18.6億ドル、加えて最大4億ドルのリボルビング枠を確保しており、同社はこれらの資金をネットワーク拡張や顧客獲得に再投資する方針です。
同社はネットワークと開発組織への重点投資で他社と差別化を図っています。具体的施策としては世界各地へのサーバー増設と、それを効率的に束ねる制御ソフトの強化、営業とカスタマーサポートの採用・育成に注力しており、従業員数は2022年の3,217人から2024年には4,263人へと急増しています。製品面では「コンソールやAPI(外部から自動で操作できる仕組み)で即時に設定が反映されること」「利用状況に応じて優先度別にトラフィックを振り分けることで高額顧客に高品質を提供すること」「第三者が自社ネットワーク上でコードを動かせる仕組み(Cloudflare Workers)」などを通じ、従来のオンプレ機器や単機能クラウドサービスとの差別化を図っています。
新市場開拓と事業拡大では、フリートライアルからの有料化やチャネル経由の拡販、戦略的買収を組み合わせて規模を拡大しようとしています。具体的にはセルフサービスでの導入経路を維持しつつ、社内のフィールドおよびインサイドセールスやマネージドサービス事業者らのパートナー網を強化して大口契約の獲得を狙っています。また2024年にはクラウドセキュリティ領域のKiveraを約2,800万ドルで買収するなど、補完的技術・顧客基盤の獲得を通じた横展開も進めています。これらにより同社は顧客ごとの浸透率を高め、顧客あたりの売上を引き上げることを目指しています。
技術革新への取り組みは同社戦略の中核です。研究開発組織は既存製品の改良チームと新規分野を探るチームの二本立てで動き、暗号化やセキュリティ技術の強化、ネットワークを効率化するソフトウエアの開発を継続投資しています。仕組みとしては、安価な汎用機器を多数展開してそれらをまとめて制御することで、サーバーを一台追加するごとに全体性能が向上する設計を取っており、新機能の展開コストが相対的に低い点を強みとしています。さらに、顧客が自動化や開発ワークフローに組み込めるように「APIファースト」の運用を進め、開発者コミュニティ経由での採用拡大も狙っています。