National Energy Services Reunited Corp.NESR

時価総額
$4億
PER
油田向け上流・ミッドストリームサービスの有力企業。水圧破砕やコイルチュービング、セメンティング等の完成・補修サービスを展開。2018年のNPS/GES買収や2024年10月のNASDAQ上場などの成長イベント。MENA中心の16カ国展開。

事業内容

National Energy Services Reunited Corp.は石油・天然ガスの上流・中流分野向けに油田サービスを提供する企業です。同社は掘削・完了から既存井の補修・生産維持まで、現場での作業機器と技術者を使って陸上・海上両方の作業を行っています。地域に根ざしたサポート拠点や研究拠点を持ち、技術支援と現場運用を組み合わせてサービスを提供しています。

同社の主要顧客は探鉱・生産(E&P)会社で、顧客の掘削や生産投資に応じて収益が変動します。特に上位顧客の影響が大きく、2024年は上位4社で約54%の売上を占めており、売上は原油価格やリグ稼働数といった外部要因に左右されやすい循環的な構造です。同社は中東・北アフリカ(MENA)を中心に16か国で事業を展開し、同地域で売上の大半を稼いでいます。

事業は「生産サービス」と「掘削・評価サービス」の2つの報告セグメントに分かれています。生産サービスでは、水圧破砕による生産増進、巻取り式チューブを使った修繕や清掃、セメント注入、窒素作業、ろ過やパイプラインの試験・保守といった現場作業を幅広く扱っています。掘削・評価サービスでは、掘削中に地層や井戸を計測する機器や方向制御装置などの技術を展開し、新しい掘削プラットフォームを段階的に導入して成長を図っています。

経営方針

同社は2024年の売上高が約13.0億ドル(US$1,301,704千)に達した実績を踏まえ、主に中東・北アフリカ(MENA)市場でのシェア拡大とフリート稼働率の向上を通じて中期的な収益成長とフリーキャッシュフロー拡大を目指しています。地域ごとにローカル拠点と人材を強化することでコスト構造を最適化し、顧客の年間予算利用やリグ稼働に合わせた受注獲得を狙う戦略です。加えて、財務報告とガバナンスの強化にも注力しており、幹部向けの統制研修やCFOの報告ライン変更など内部管理の改善を進めています。

同社は重点投資分野として、プロダクション(生産)サービスと掘削・評価サービスの両輪を挙げています。これらはセメント、コイルドチュービング、スタimulation/ポンプ、窒素サービス、ろ過やパイプライン工事といった現場作業を幅広くカバーすることで差別化を図っており、現地密着の営業体制と幅広いサービスポートフォリオを武器に価格・品質・対応速度で競合優位を築く方針です。研究・技術面ではサウジのDharan Techno Valleyにある研究拠点(NORI)を活用し、設計や貯留層解析などで顧客の技術ニーズに応えています。また、環境・脱炭素分野や掘削評価分野への戦略的出資は、2023年末から累計で数千万ドルの投資(2024年末で約2,430万ドル、2023年末で約1,520万ドル)として実行しています。

新市場開拓と事業拡大については、既に16カ国で展開する地理的プレゼンスを活かし、クウェート・オマーン・サウジアラビアなどでの多年度契約や新技術の導入を通じて顧客基盤を広げる計画です。M&Aによる成長も主要な手段で、NPS/GESの統合(2018年)やSAPESCOの買収(2020年)、Actionの資産取得(2021年)、専門ラボへの出資(2022年)などでサービス領域と市場を拡張してきました。同社は顧客集中リスクにも留意しており、2024年には上位4顧客で売上の約54%を占めた実績を踏まえ、顧客分散と天然ガス市場や脱炭素案件への参入で収益源の多様化を図ろうとしています。

技術革新への取り組みでは、自社の先進掘削プラットフォーム「Roya™」を核に据えています。Royaは計測・ロギング・方向制御の3要素(RoyaStream、RoyaSeek、RoyaSteer)で構成され、2024年第4四半期にクウェートで初のウェル納入を行い、クウェート・オマーン・サウジアラビアでの複数年契約を確保しています。同社はこの技術を信頼性確保のため段階的に展開する方針であり、同時に業務効率や管理精度向上のために会計・調達面でのソフト導入やデータ可視化(Power BI等)、アクセス管理ツールの採用といった実務系の技術投資も進めています。これらにより現場技術と管理体制の両面で競争力を高め、長期的な差別化を図る狙いです。