NASDAQ, INC.NDAQ

時価総額
$570.4億
PER
資本市場向け取引所運営とマーケットテクノロジーの米国最大手。市場データ、上場サービス、金融犯罪対策、規制報告ソフトを展開。23年11月にリスク管理ソフト企業を約57.5億ドルで買収。北米・欧州・アジアで展開。

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企業概況
112文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
1項目)
ライバル企業
3社)
同業種の日本企業
2社)

事業内容

NASDAQ, INC.はグローバルに資本市場向けの技術とサービスを提供する企業です。主力は自ら運営する取引所の管理、取引データや金融指数の配信、企業や金融機関向けのソフトウェアと分析ツールです。

同社の主要な顧客は上場企業、資産運用会社、証券会社、銀行、取引所運営者や規制当局など幅広く存在します。収益は上場手数料や取引手数料、リアルタイムや履歴データの配信料、ソフトウェア・クラウドの定期利用料、清算や接続サービス料金などから成り立っています。

事業は大きく三つのセグメントに分かれています。資本アクセスプラットフォームでは上場支援、マーケットデータ、指数と企業向けのガバナンスやサステナビリティ支援を提供し、金融テクノロジーでは不正検知やマネーロンダリング対策、規制報告や市場監視のソフトウェアを提供しています。マーケットサービスでは株式、オプション、債券や商品など複数の取引市場の運営と清算、接続・コロケーションなどインフラを提供しています。

経営方針

同社は「流動性」「透明性」「信頼性」の三本柱を軸に成長を図っています。具体的には、Financial Technology部門で年次定期収益(ARR)を2024年に10%超成長させた実績があり、上場関連では2024年にナスダック上場資格のあるIPOの82%で勝ち取り、180件・230億ドルの資金調達を支援しました。上場数ではグローバルで5,249社(うち米国は4,075社)を抱え、2024年の新規上場は463件に達しています。同社はこれらの実績を基に市場シェア維持と高付加価値サービスの拡大を目指しています。

同社は金融機関向けの監視・不正検知や規制対応、取引所技術とデータ配信への重点投資で差別化を図っています。AxiomSLやCalypsoの買収(取得対価は約57.5億ドル)により規制報告やリスク管理、トレード処理のソリューションを強化し、Verafinなどを通じてアンチマネーロンダリング対策の機能も厚くしました。さらに独自の市場データ製品(例:TotalViewや低価格のデータフィード)と上場プラットフォームを組み合わせ、約1万社の企業顧客と5,000の運用系顧客基盤を活かしてクロスセルと継続収益の拡大を目指しています。

同社は新市場と事業領域の開拓にも積極的です。インデックス事業では2024年に800億ドルの純流入があり、ETPの運用資産は6,470億ドルに達しており(2024年末)、116の新商品を立ち上げるなど商品ラインアップ拡充を進めています。市場技術事業はデジタル資産取引所や国際的な取引所・清算機関へのSaaS提供を拡大しており、北欧・バルトやカナダなど地域市場の取扱いも維持・調整しながら、クラウド基盤や運用サービスを通じて新たな収益源を確保することを目指しています。

同社は技術革新を成長の基盤と位置付け、クラウド移行やAI・機械学習の実装、低遅延接続(コロケーションやミリ波等)への投資を進めています。具体的には運用プラットフォームのクラウド化推進、監視/不正検知での誤検知率低減への取り組み、AxiomSLの頻繁な規制アップデート対応などに注力しており、投資資金として買収資金の一部に約50億ドルの借入れと6億ドルのタームローンを活用しました。同社はこれらの技術投資と買収統合でスケーラブルなサービスを構築し、安定した契約残高(2024年時点で数十億ドル規模の未履行債権残高)を基に持続的な収益成長を目指しています。