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- NEUROCRINE BIOSCIENCES INC
NEUROCRINE BIOSCIENCES INCNBIX
事業内容
NEUROCRINE BIOSCIENCES, INC.は神経科学に特化したグローバル製薬企業で、難治性の神経・精神疾患向けの治療薬の発見・開発・販売を行っています。主力製品のINGREZZAは遅発性ジスキネジアやハンチントン病のコレア向けの経口薬で、近年の売上が同社の収益基盤を支えています。
同社の主要な顧客は専門薬局や医薬品卸、保険者(公的医療制度を含む)で、製品販売が収益の大部分を占めています。売上は販売価格から値引きや政府リベート、チャージバックなどを差し引いた実額で計上しており、これらが業績に影響を与えます。
同社は既存の商業製品に加え、クラインスティ(CRENESSITY)などの新製品や統合失調症やうつ病向けの探索的な開発パイプラインも進めています。開発は他社との共同研究やライセンス契約を活用し、製造は外部の受託企業を利用することで効率的に事業を展開しています。
経営方針
同社は主力製品の商業化を中核にして持続的な成長と収益性の向上を目指しています。実績として2024年の売上高は約23.6億ドルで、主にINGREZZAの販売が貢献し、同製品の製品売上は約23億ドルに達しました。営業投資と並行して株主還元も重視しており、取締役会は3億ドルの自社株買いを承認し、加速買戻契約で合計約2.3百万株(平均買戻価格約131.83ドル)を取得するなど、資本配分を通じて1株当たり利益の向上も狙っています。配当についてはこれまで支払っておらず、当面は再投資と買戻しを優先すると見られます。
同社は研究開発と商業化の両面に重点投資を行い、差別化を図っています。研究開発費は2024年に約7.31億ドルに達しており、神経系領域(神経学、神経内分泌、神経精神科)に特化したパイプラインを強化しています。販売面ではセールスフォースの拡充やマーケティング投資(広告費が2024年に約1.91億ドル)で製品浸透を高め、競合製品と比べた処方獲得を目指しています。加えて、武田やVoyager、Xenonなど外部企業との共同開発・ライセンス契約を活用して新たな技術や適応拡大を取り込み、単独の研究だけでなく連携による優位性を築いています。
新市場開拓と事業拡大では、国内外の承認取得と適応拡大を通じた売上拡大を目指しています。同社は主に米国での売上が中心ですが、外部パートナーとの協業で国際展開や新治療領域への参入を図っており、資本や人員を投じて組織を拡大してきました。従業員数は2017年の約200名から2024年には約1,800名に増加しており、販売・開発・管理体制の強化を進めています。また、事業成長にあわせてERP導入や生産を担う外部受託先との連携強化などオペレーションの効率化にも投資しています。
技術革新への取り組みとしては、同社は臨床開発の推進と知財保護を重視しています。臨床試験や後期開発に継続投資するとともに、取得した知的財産を巡る訴訟・異議申し立て(例:Spruce社に対する特許無効化訴訟)を通じて競争優位を守る施策を講じています。さらに、遺伝子治療など新規モダリティの導入に向けた共同研究やライセンス獲得を進め、社内ではデータ管理やサイバーセキュリティ、IT基盤の整備にも注力しており、長期的なパイプライン創出と安全な事業運営を両立しようとしています。