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MYR GROUP INC.MYRG
事業内容
MYR GROUP INC.は、電力インフラや商業・産業向けの特殊電気工事を手掛ける持株会社で、子会社を通じて設計、調達、施工、改修、保守・修理まで広範な電気工事サービスを提供しています。米国とカナダに地域拠点を持ち、建設や緊急復旧に重点を置きつつ、安全性と顧客対応を重視した現場運営を行っています。
同社の主要顧客は電力会社や発電事業者、それに総合建設業者や施設オーナーで、競争入札を通じて契約を獲得する収益構造です。上位10社で2024年の売上の約37.8%を占め、単一顧客が年間売上の10%を超えることはなく、2024年は送配電(T&D)分野が約55.9%、商業・産業(C&I)分野が約44.1%を占めました。
同社は事業を送配電(T&D)と商業・産業(C&I)の2つのセグメントで運営しています。T&Dでは高圧送電線や変電所、地上・地下の配電網、再生可能エネルギー関連や電気自動車の充電設備、緊急復旧を手掛け、C&Iでは施設向けの電気工事やEPC(設計・調達・施工)案件での建設支援や保守契約を中心に展開しています。連携した機材・車両の集中運用や熟練労働力を活かし、合弁や買収で地域展開も進めています。
経営方針
同社は有機的成長と選択的な買収により中長期的な収益拡大を目指しています。具体的には、事業の二本柱である送配電(T&D)と商業・産業(C&I)分野での受注拡大に注力しており、2024年の売上構成はT&Dが55.9%、C&Iが44.1%となっています。財務面では、約4.9億ドルのリボルビングクレジット枠や営業キャッシュフローを成長資金の中核と位置づけ、2024年の設備投資は約7,590万ドルを実行しました。また、株主還元の一環として2024年に約64万3,549株(加重平均取得価格116.54ドル)を自己株買いで取得するなど、資本配分を通じて株主価値の向上も図っています。
同社は重点投資分野として高圧送電・変電所工事や地域配電網の改修、クリーンエネルギーや電気自動車充電インフラといった成長領域に資源を集中しています。差別化戦略としては、技能を持つ現場要員の育成、中央集約型の機材・フリート運用、安全管理の徹底、そして工事採算を厳格に管理するプロジェクト選別を掲げており、固定価格契約では高い利幅を狙う一方、時間・実費型契約でリスクを抑える柔軟な契約ポートフォリオを維持しています。現場の実行力と顧客関係を強みにし、コスト管理と報酬制度で現場のパフォーマンスを引き上げる取り組みを行っています。
新市場開拓・事業拡大では、北米を中心に地理的な拡大と大規模案件やナショナルアカウント獲得を進めています。特にカナダ(オンタリオ)での強化は買収でも裏付けられており、2022年にPowerline Plus社を約1.11億ドル(買収時の現金支出ベース)で取得しており、これにより配電工事の足場を強化しました。公共インフラ整備関連の法規や補助金の動向を注視しつつ、MSA(包括契約)やEPC(設計・調達・施工)での共同事業を通じて大型プロジェクトへ参画する計画を持っています。バックログ(未完工契約見込収益)の管理を重視し、受注タイミングや契約形態に応じた収益予測の精度向上を図っています。
同社は技術革新への投資を、機材・専用工具の更新と人材育成の二本柱で進めています。具体的には中央集約型フリートや特殊機器への継続的な設備投資を行い(2024年設備投資約7,590万ドル)、EPC案件での調達・施工能力を高めることで工期短縮とコスト低減を目指しています。加えて、安全や品質を支える現場管理ツールや工程管理の標準化、人材の技能研修に注力しており、これらを通じて競争優位を確保しつつ、より複雑で付加価値の高い案件の獲得を目指しています。