First Western Financial IncMYFW

時価総額
$2.5億
PER
富裕層向けプライベートバンク・資産運用の有力企業。信託、ウェルスマネジメント、商業貸出、モーゲージ銀行を展開。2018年のIPO、2024年の従業員321名、2030〜2032年償還の劣後債総額5,300万ドル発行。コロラド、アリゾナ、ワイオミング、モンタナ、カリフォルニアで20拠点展開。

事業内容

First Western Financial Incは、富裕層やその関連事業を対象にした総合的なウェルス・マネジメントとプライベートバンキングを中核事業とする金融持株会社です。信託・資産運用、預金・貸出、モーゲージ業務、財務・税務プランニングや保険を組み合わせ、顧客の全体的な資産状況を踏まえたソリューションを提供しています。

同社の主要な顧客は流動資産の多い高額資産保有者やその事業体、専門職や中小企業で、収益は運用残高に対する手数料(AUM収入)、貸出による利息収入、預金利鞘、ならびにモーゲージの起源と二次市場での売却益などで成り立っています。信託資産や運用残高が収益に対して重要な位置を占めるため、大口顧客の動きや金利環境が業績に影響します。

同社は各地域に「ブティック型」の利益センターを配置し、商業融資(事業・不動産・建設ローン)や住宅ローンの保有・流通、各種分割払い・与信枠のほか、第三者運用と一部独自商品を組み合わせた裁量的な資産運用サービスを展開しています。中央のプロダクトグループがトレジャリー管理、リスク・保険、退職金サービス、税効率化商品など専門分野を支え、預金基盤を成長の資金源として新規拠点や人材獲得を通じた西部地域での拡大を目指しています。

経営方針

同社は「西部の富裕層向けプライベートバンク」としての地位拡大を成長戦略の中核に据えています。具体的には、流動資産が100万ドル以上の個人やその関連事業を主要ターゲットとし、既存の高付加価値顧客基盤を深掘りすることで収益拡大を図っています。直近(2024年末)の総資産は29.2億ドル、総収入は9,010万ドル、運用資産(AUM)は73.2億ドルといった実績を背景に、2018年の上場による資本増強と約5,300万ドル相当の劣後債発行(2030年、2031年、2032年償還)を活用して、オーガニック成長と買収の双方で成長を目指しています。

重点投資分野は銀行業務・信託・投資運用・貸出・与信管理などのコア業務であり、同社はこれらを「利益拠点(ブティック型の私設信託銀行オフィス)」と中央の専門チームで結ぶモデルで差別化を図っています。各利益拠点は地元責任者を置き、預金、貸出、信託、資産運用をワンチームで提供することで顧客の複雑なニーズに一体的に応える体制を構築しており、これが大手の画一的なオンラインサービスとの差別化になっています。人材面では321名の従業員を擁し、経験豊富なチーム採用を成長の主要施策と位置づけています。

新市場開拓と事業拡大では、西部の類似した富裕層人口を有する都市圏への展開を継続する計画です。2024年末時点で同社は14のフルサービス利益拠点、5つのローン生産拠点、1つの信託オフィス、合計20拠点を運営しており、今後も追加の利益拠点開設や地域内での市場シェア拡大、必要に応じて銀行や運用会社の買収でフットプリントを広げる方針です。加えて、コア預金基盤の強化を重要視しており、2024年末の無保険預金は9.026億ドルで総預金の35.9%を占めている点を踏まえ、預金獲得を原資に貸出拡大を図る計画です。

技術革新とリスク管理への取り組みでは、情報技術とサイバーセキュリティへの投資を優先しています。同社は第三者管理サービスを活用してネットワークやプラットフォームを運用し、外部の専門知見で安全性と拡張性を確保するとともに、NISTや金融監督当局のガイドラインに沿ったリスクベースの管理を実施しています。具体的施策としては、機密性・可用性・完全性を守る管理策の導入、年1回以上のインシデント対応の机上訓練、年次の従業員向けセキュリティ教育の実施、さらに事業継続のためのベンダー冗長化(フルレプリケーションによる自動切替)などで運用の安定を図っています。