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MURPHY OIL CORPMUR
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事業内容
MURPHY OIL CORPは、主に原油、天然ガスおよび天然ガス液の探査・生産・販売を手がける上流(E&P)企業で、米国(メキサス州のイーグルフォードやメキシコ湾など)、カナダ、その他の国々で事業を展開しています。 同社は採掘だけでなく、生産した資源の処理や出荷手配まで一貫して行っているのが特徴です。
主要な顧客は大手精製業者やエネルギートレーダーなどで、売上の多くは同社が生産したコモディティ(原油・天然ガス・NGL)の販売から生まれます。 収益は世界的な原油・天然ガス価格の変動に左右されやすく、一部はカナダでの長期契約や固定価格契約によって安定化を図っています。
事業は地域別のセグメント構成で、米国、カナダ、その他の国に分かれ、コーポレート部門が全体を統括しています。 各地域では海上油田や陸上のシェール資源の開発に加え、処理・輸送サービスや購入した油ガスの販売など複数の収益源を持ち、資産売却や買収でポートフォリオの最適化を図っています。
経営方針
同社の成長戦略は「安定したキャッシュ創出を基盤に株主還元と財務の健全化を両立する」ことにあります。具体的には、調整後フリーキャッシュフローの一定割合を配当増や自社株買いで還元する資本配分枠組みを採用しており、取締役会は最大11億ドルの自社株買い枠を承認しています。2024年末時点で買い戻し可能残高は6億501万ドル、年明けの2025年2月25日には公開市場で340万株(約9510万ドル)を再取得し残高は5億5500万ドルとなっています。加えて、四半期配当は1株当たり0.325ドル(年率換算1.30ドル)が宣言され、他方で2022年以降は負債削減を継続しており、2024年には6.00%の2032年満期シニアノート600百万ドルを発行して同額の短期債務を償還するなど、保守的な資本構成を維持しつつ株主還元を推進しています。
投資の重点は米国・カナダの上流(採掘・生産)の強化と、コスト管理による差別化にあります。2024年の生産は日量約184千BOEPD(非支配持分除く177千BOEPD)で、液体比率は約56%、2025年は57%を見込んでいます。埋蔵量補充率は84%(年末確定埋蔵量729.0百万BOE)と着実な資産維持に努めており、2025年の資本支出は11.35〜12.85億ドルを計画しています。現場の資産保全や安全・環境ガバナンスに資本を配分すると同時に、調達部門を通じたサプライチェーン管理で投入コストを抑え、同業他社に対する収益性・安定性で差別化を図っています。
新市場開拓と事業拡大では、積極的な探鉱・開発活動を継続しています。2024年にはベトナム沖のHai Su Vang-1X(Golden Sea Lion)で約370フィートの純油層を確認し、米国メキシコ湾の非開発井Ocotillo #1でも約100フィートの純層を見出すなど洋上・海外での発見実績があります。これらの探鉱成果は将来の生産増と資産ポートフォリオ拡大に直結すると同社は見ており、新規開発や既存資産の最適化を通じて長期的な成長を目指しています。ただし、商品価格変動に応じて生産や投資計画を柔軟に見直す方針も明確にしています。
技術面では価格変動や運転リスクを低減するための手段を具体的に導入しています。同社は天然ガスの価格リスク対策としてフォワード固定価格契約やスワップを活用しており、たとえばカナダで40 MMCF/日をC$2.75(2025年)、50 MMCF/日をC$3.03(2026年)での固定販売契約を締結、米国でも2〜12月区間に分けて合計160 MMCF/日の固定価格スワップ(価格帯は約US$3.58〜3.74/MCF)を手当てしています。加えて資産インテグリティや緊急対応計画への投資、TCFDに沿った気候関連開示の強化やサステナビリティ担当役員の配置、社内のデジタル学習基盤による人材育成などに取り組み、運用効率と規制対応力の両面で技術的・組織的な強化を図っています。