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MANITOWOC CO INCMTW
事業内容
MANITOWOC CO INCは世界各地で各種クレーンの設計・製造・販売を行い、関連するアフターサービスやレンタル事業も手がける企業です。同社の主力製品は格子ブーム式のクローラークレーン、建設向けのタワークレーン、移動式の油圧クレーンなどで、新品販売に加え部品供給や整備、レンタル収入が事業の重要な柱になっています。
同社の顧客層は建設会社、インフラ事業者、エネルギーや石化プラント、そしてクレーンレンタル業者など多岐にわたります。売上は新品販売が中心ですが、部品・整備・中古機販売・レンタルといった非新車(アフターマーケット)収益の拡大を戦略の一つに据え、収益の安定化を図っています。
同社は製品ラインを地域別の事業セグメントで管理し、主要な製造拠点で組立や品質検査を実施したうえで、独立ディストリビューターや自社販売網を通じて世界に供給しています。研究開発や検証設備、現地サービス拠点への投資を進めており、新製品開発や遠隔監視などのデジタル化で競争力を高めています。
経営方針
同社は長期的に売上高を$30億にまで拡大し、非新品(中古販売・レンタル・部品・整備等のいわゆる非新品売上)を$10億に成長させることを目指しています。これにより調整後のEBITDAマージン12%、調整後投下資本利益率(ROIC)15%を達成することが目標です。直近では2024年の連結売上高が約$21.8億、うち非新品売上が約$6.29億に留まっており(受注高は2024年に約$19.23億、バックログは$6.50億へ減少)、景気変動の影響を受ける新車販売のサイクルを補うために非新品比率を高めることが成長の中核戦略になっています。同社は安全性向上にも注力しており、記録対象の負傷率を1.0未満に抑える「ゼロハーム」を掲げています。
重点投資分野としては、レンタルとアフターサービスに集中しています。欧州のタワークレーンのレンタルフリートは2021年以降に設備原価で約$2,730万の増強を果たしており、部品販売、現場修理、据付・撤去、リマニュファクチャリング、トレーニングやデジタルソリューションといったサービス領域を拡充しています。北米でもAspenやMGX、Honnenの資産取得により直販・サービス網を拡大し、現在は16のフルサービス拠点(米国14州)と160名超のフィールド技術者を確保しています。これらの投資により「製品の耐久性と高い再販価値+手厚いサービス」で差別化を図っています。
新市場開拓と事業拡大では、中東を含む「ベルト&ロード」地域やアジア太平洋を重視しています。タワークレーン市場向けに2021年以降で10機種の新型を投入し、これら新型の多くは中東の需要を念頭に開発されています。製品開発のスピードも向上しており、従来18〜24か月だった新製品投入サイクルを12〜14か月へ短縮しています。北米では主要テリトリーの買収や拠点移転(ルイジアナ、アリゾナの拡大、2025年初めのRing Power社資産取得によるジョージア・ノースカロライナ・サウスカロライナの拡大など)でレンタルと直販網を強化し、地域ごとの直接顧客接点を広げる計画です。
技術革新への取り組みとしては、製品検証センターや自動化ラインへの投資を進め、新製品の試験・検証体制を強化しています。オールテレイン(多目的移動)クレーンに関しても2021年以降で10機種の新型・改良モデルを導入し、Grove CONNECTなどの遠隔監視・テレマティクスを活用して稼働データに基づく保守やレンタル稼働率の最適化を図っています。また「The Manitowoc Way」と称する継続的改善プロセスでトヨタ生産方式の手法を取り入れ、リードタイム短縮や品質向上、環境負荷低減を具体的施策として推進しています。