MATERION CorpMTRN

時価総額
$26.2億
PER
高性能エンジニアード材料の大手。ベリリウムや銅基合金、精密薄膜コーティング・光学部品を展開。ユタ州に世界最大のベルトランダイト鉱山と精製所を保有。2024年の売上高は約17億ドル、同年に債権を4,890万ドルで売却。米国、欧州、アジアで展開。

事業内容

MATERION Corpは、高性能のエンジニアード材料を製造する企業で、電気・電子・熱・構造用途向けの特殊金属や合金、ベリリウム系製品、光学部品などを主力商品としています。同社はメーカー向けに素材や部品を安定供給し、2024年は約17億ドルの売上を計上しています。

同社の顧客は半導体、産業機器、航空宇宙・防衛、自動車、エネルギー、家電、ライフサイエンスといった幅広い業界の製造企業です。売上は製品販売が中心で、直販や代理店を通じて供給し、電子材料とパフォーマンス材料が収益の大半を占めています。パフォーマンス材料部門では、2024年にある単一顧客が売上のおおよそ10%を占めていました。

同社の事業セグメントはパフォーマンス材料、電子材料、精密光学、その他(コーポレート費用)に分かれています。パフォーマンス材料はベリリウムや銅・ニッケル系の合金や棒材・板材などの加工品、電子材料は半導体向けの素材や導電製品、貴金属の回収・精製サービスを提供しています。精密光学は薄膜コーティングや光学フィルター、組み立て部品を製造し、同社は試作や技術支援を通じて顧客の製品開発や量産立ち上げも支援しています。

経営方針

同社は中長期で「持続的かつ収益性の高い成長」を目指しています。直近の連結売上高は2024年で約16.8億ドル(約1,684百万ドル)に達しており、電子材料(約8.46億ドル)とパフォーマンス材料(約7.45億ドル)が収益の大半を占めています。成長実現に向けては構造コストの削減や業務効率化を進める再編を実行しており、必要に応じて買収での事業拡大も検討していることから、オーガニック成長と選択的なM&Aによる組み合わせで収益基盤を強化する方針です。

重点投資は半導体や高機能コネクタ向けの電子材料、軽量で高剛性を要求される用途向けのパフォーマンス材料、そして光学部門の高付加価値品に集中しています。差別化策としては、ユタ州にある世界最大級のベルランダイト鉱山とその精錬能力を有する垂直統合体制、社内での貴金属回収や精錬の体制、そして銀行との金属在庫委託(コンシグメント)契約による価格変動リスクの抑制など、原材料供給とコスト管理の両面で優位性を確保しています。

新市場の開拓と事業拡大では、既存の航空宇宙・防衛、半導体、医療・ライフサイエンス、エネルギー、自動車といった複数のエンド市場での用途拡大を狙っています。具体的には、精密光学や蒸着ターゲットなど半導体関連製品の生産能力・販売網を強化することで市場シェアを取りに行く計画であり、また2024年には約4,890万ドル分の売掛債権をファクタリングして資金効率を高めるなど、資金面でも成長投資を実行可能にする施策を講じています。一方で、精密光学部門では2024年に5610万ドルののれん減損を計上しており、この結果を踏まえた事業再編や収益性改善策も進められています。

技術革新への取り組みは研究開発と製造力の両輪で進められています。薄膜コーティングや光学フィルター、蒸着材料などの先端技術に継続的に投資するとともに、現場の技能向上のための見習い制度や人材育成プログラムを拡充しており、製造品質と立ち上げ期間の短縮を図っています。さらに、貴金属の回収・再精錬技術や社内でのプロセス自動化を通じて原価低減と環境面の効率化を同時に追求しており、これらが製品の差別化につながることを目指しています。