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VAIL RESORTS INCMTN
事業内容
VAIL RESORTS INCは、主にスキー場を核としたリゾート事業を世界各地で展開する企業です。同社は山岳エリアのリフトやコース管理といったマウンテン運営に加え、ホテルなどの宿泊、飲食・小売、レンタルやスキースクールといったゲスト向けサービスを一体的に運営しています。
同社の主要な顧客はレジャー客やシーズンパス保有者、団体や企業の会議利用者で、収益はシーズンパスやリフト券、宿泊料金、飲食・物販、レンタルやスキースクール料、さらに不動産販売や物件管理収入など多様な柱で成り立っています。冬季の来場が中心で収益は季節変動を受けやすく、デジタル販売や会員制パスによる直接取引で再来訪を促しています。
事業は大きくマウンテン、宿泊(ロッジング)、不動産などのセグメントに分かれます。マウンテンではリフトやゲストサービス、シーズンパスや現地での施設運営を行い、宿泊は自社ホテルや予約センターでパッケージ販売を行ってゲスト体験を統合しています。不動産部門は土地売却や将来開発の計画を通じてリゾートの宿泊基盤や商業施設を拡充し、物件管理や賃貸運営で継続的な収入源を広げています。
経営方針
同社はパス販売を軸にした「リカーリング(継続収入)の拡大」とリゾート全体の収益性向上を成長戦略の中心に据えています。2023/24シーズンの北米スキー来訪者数約7,840万人のうち、同社のリゾートは約1,580万人を集め、約20.2%のシェアを占めており、こうした利用者基盤を早期にパス購入へ誘導することでリゾート別の年間収益(Resort Reported EBITDA)の成長を追求しています。財務指標ではResort Reported EBITDAやTotal Reported EBITDAを主要な業績目標に据え、ネットデット(Net Debt)を資本政策の重要な管理項目として運用しています。
同社は資本支出と不動産を差別化の主軸としています。競合より多くの施設改良や設備投資を行うことでゲスト体験を高め、ホテルや飲食、商業施設の整備を通じて宿泊需要と追加的な繰返し収入を創出しています。また、不動産については自社での大型垂直開発は抑え、土地分譲や第三者デベロッパーとの協業によりキャッシュフローを得つつ、リゾート周辺の建築テーマや運営方針をコントロールしてブランド価値を維持・強化する方針です。加えて、データ解析を活用した個別最適化型のマーケティングでパスや宿泊の直販比率を高め、他社と差別化しています。
新市場開拓では海外展開と買収によるポートフォリオ拡大が明確です。オーストラリアでは主要スキー場を複数保有し(PerisherやFalls Creek、Hothamなど、同社はオーストラリアの大手を所有)、ヨーロッパではAndermatt‑Sedrun(2022年買収)やCrans‑Montana(2024年5月買収)などの獲得で国際的な強みを拡大しています。こうした買収は既存ネットワークへの集客シナジーやパス製品の展開に寄与すると同社は見ており、地域ごとの需要を取り込むことで年間利用者数と宿泊ベースの拡大を目指しています。
技術革新では顧客接点のデジタル化と情報セキュリティ強化に注力しています。ウェブやモバイルアプリでの予約・販売を軸に来訪者データを収集し、メールやデジタル広告を使ったオムニチャネルでのパーソナライズ化を進める一方、サイバー対策では専任チームを置き、米国の標準(NIST)や国際標準(ISO)に沿った管理体制、脆弱性診断や模擬訓練、外部評価の導入などで機密性と可用性の確保を図っています。これにより顧客体験の向上と運営リスクの低減を両立させることを同社は目指しています。