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MGIC INVESTMENT CORPMTG
事業内容
MGIC INVESTMENT CORPは、住宅ローンの返済が滞った際に貸し手の損失を補う民間の住宅ローン保険を主に引き受ける会社です。同社は保険の引受けを中心に、貸し手向けの与信審査支援や保険料の個別設定といったサービスも行っています。
主要顧客は銀行やモーゲージ会社など住宅ローンを扱う貸し手で、保険料収入が同社の収益の柱になっています。同社は保有資産の運用による利息収入や再保険取引でも収益を確保しており、上位顧客への依存度が高く(上位10社で約37%の新規契約を占めます)これが事業リスクの一つになっています。
事業は大きく住宅ローン保険の引受、再保険、投資運用、リスク管理の四分野に分かれています。同社はリスクに応じた価格設定や与信モデルを用いて個別に保険を引き受け、資産は高品質の債券中心に運用して流動性と資本基盤の安定を図っています。また、格付け機関や保険規制に則した資本管理とサイバーや業務継続を含むリスク管理の強化にも注力しています。
経営方針
同社は持続的な成長と株主還元の両立を目指しています。具体的には、2024年の新契約(NIW)で業界内シェアを18.6%に高め、前年の16.3%から拡大させましたが、今後も収益性と市場シェアのバランスを重視する方針です。資本政策では2024年に約25.3百万株、約5.66億ドルを自社株買いに充て、取締役会は2026年末までに追加で最大4.57億ドルの買い付け枠を承認しており、同社は安定した格付け(A/A3/A-)と自己資本(株主資本約51.7億ドル、総資本約58.2億ドル)を維持しつつ、株主還元と資本の柔軟な配分を目指しています。加えて、持株会社レベルでの現金・投資は約11億ドルあり、保有債務は2028年償還の5.25%債650百万ドル、年間利息負担はおおむね3400万ドル程度です。
同社は商品面では差別化されたリスクベースの価格設定と厳格な引受管理を重点投資分野としています。具体策としては、自社のリスクベース価格エンジン「MiQ」を用いた細粒度の価格調整や、上位顧客との関係維持による流通チャネル強化に注力しており、上位10社でNIWの約37%を占める顧客集中を意識しつつ、採算性を優先した引受基準を運用しています。また、資産運用はPMIERs要件を優先し高格付けの固定利付債中心のポートフォリオを採用、2024年の税引前利回りは約4.0%で、ボラティリティ抑制と流動性確保を重視しています。
同社は新市場開拓と事業拡大においては、住宅ローンの起源(モーゲージ起債)動向や政府系保険(FHA・VA等)との競合を注視しながら機会を模索しています。総住宅ローン起債は2025年に増加が予想されており、同社はこれを成長機会とみなしてNIW増加を目指す一方で、PMIERs準拠の資本水準維持のために追加資本調達や再保険の活用も選択肢に残しています。さらに、非GSE市場や信用補完の新たな形態への関与は格付けや規制環境を見極めつつ段階的に検討する方針です。
同社は技術革新を成長とリスク管理の基盤と位置づけ、システム刷新とデータ活用に投資しています。具体的には、価格設定・引受・リスク評価のためのモデル更新や自動化を進め、ビジネストランスフォーメーションとテクノロジー専任の取締役会委員会がサイバーセキュリティや事業継続性を監督しています。ただし同社自身もモデルリスクやサイバーリスクを認識しており、外部ベンダー管理や内部統制の強化を並行して実施することで、技術導入の効果を安全に高めることを目指しています。