Motorola Solutions, Inc.MSI

時価総額
$611.5億
PER
公共安全と企業向けセキュリティ技術の世界最大手。LMR通信、ビデオセキュリティ、コマンドセンターの統合ソリューションを展開。2023年12月にセンサー関連企業を1.7億ドルで買収。100か国超、10万以上の顧客基盤で展開。

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企業概況
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業績概況
テーマ
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3項目)
ライバル企業
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同業種の日本企業
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事業内容

Motorola Solutions, Inc.は、公共の安全と企業向けのセキュリティ技術を手がける世界的な企業で、ミッションクリティカルな無線通信機器や通信インフラ、映像監視や入退室管理の機器・ソフトウェア、指令(コマンド)センター向けの統合ソリューションを中心に事業を展開しています。加えて、クラウドやオンプレミスで動くソフトウエア、サイバーセキュリティや運用を支える有償サービスも取り扱っています。

同社の主要顧客は連邦・州・地方の政府機関や警察・消防などの公共安全機関に加え、学校、病院、企業、スタジアムなどの民間事業者まで幅広く、世界100か国以上で約10万を超える顧客に利用されています。収益はハードウエアやシステム導入による一時的な売上と、ソフトウエアのサブスクリプションや保守・管理サービスによる継続的な売上が組み合わさっており、直販チームと販売代理店・ディストリビューターを通じた販売で案件を獲得しています。

同社は組織を「Products and Systems Integration」と「Software and Services」の二つのセグメントで管理しており、報告上の主要な製品ラインは無線通信(LMR)、映像と入退室管理(Video)、そして指令センター向けのソリューション(Command Center)の三つです。これらを組み合わせることで、現場の音声・映像・データを統合して意思決定や連携を速めることを狙いとしており、買収や自社開発で機能を拡充しながら、トータルな安全・セキュリティのエコシステムを強化しています。

経営方針

同社は持続的な成長と株主還元の両立を目指しています。2024年の連結売上高は約108.2億ドル、営業利益は約26.9億ドル、粗利益率は51.0%と前年から改善しており、受注残(バックログ)は約146.97億ドルと高いストック型収益基盤を抱えています。株主還元については、2011年からの自社株買い枠の下で累計約158億ドルを買戻しに使い、なお約22億ドルの残余枠を保有しているほか、四半期配当も継続しており、同社は安定的なキャッシュ配分を目指しています。

同社は投資の重点を「通信(LMR)」「映像(Video)」「指令センター(Command Center)」という三つの領域に置き、これらを一体化した安全・セキュリティのエコシステムで差別化を図っています。具体的には従来の無線通信(LMR)にブロードバンドのデータ機能を付加して顧客の業務を高度化することや、映像に高度な解析を組み込み遠隔での監視・アクセス制御を提供することを進めています。研究開発投資は2024年に約9.17億ドル(売上比約8.5%)を計上し、設備投資も製品・クラウド両面で継続しているため、技術とサービスの両面で競合優位を築く方針です。

新市場の開拓と事業拡大は、買収とチャネル展開を組み合わせて進めています。近年ではRave Mobile(マス通知)やAva(クラウド映像解析)、IPVideo(センサー技術)、Noggin(事業継続ソフト)などの買収により製品ポートフォリオを拡充し、映像の「サービス化(video-as-a-service)」や企業向けの重要イベント管理など新たな収益源を育てています。ソフトウェア・サービス分野のバックログは特に大きく(約105.62億ドル)、同社は公共安全向けの長期契約と民間企業向けの拡大を両輪に成長を図る計画です。

技術革新への取り組みでは、クラウドネイティブ化やデータ解析、人工知能を活用したインサイト創出に重点を置いています。具体的には指令センター向けのクラウド移行や映像解析のクラウド提供、センサー技術(例:HALOスマートセンサー)の統合を進め、製品をソフトウェアとサービスでつなぐことで差別化を図っています。同時にサイバーセキュリティ体制にも投資しており、社内で明確な運用ルールを設け外部評価も取り入れるなど、安全性・信頼性の確保に努めています。