Marvell Technology, Inc.MRVL

時価総額
$667.8億
PER
データインフラ向け半導体の最大手。データセンター向け高性能SoC、カスタムASIC、ストレージコントローラを展開。2022年のInphi買収、2024年の自社株買い増額、2025年度売上5,767.3百万ドル。米国、欧州、アジアで展開。

ランドスケープPowered by 会社四季報オンライン

企業概況
107文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
ライバル企業
1社)
同業種の日本企業
2社)

事業内容

Marvell Technology, Inc.は高性能なデータインフラ向け半導体を設計・開発する企業で、データセンターからネットワークのエッジまでを支えるチップやコントローラを提供しています。同社はストレージやネットワーキング、セキュリティ、接続機能を一体化した製品を標準品と顧客向けに最適化したカスタム品の両面で展開しています。

主要な顧客はクラウド事業者やサーバー・ネットワーク機器メーカー、通信事業者、そして大手ディストリビューターで、直接販売とディストリビューター経由の販売が収益の多くを占めています。同社は2025会計年度に総売上高の約72%をデータセンター関連で稼いでおり、上位顧客への売上集中が収益構造の特徴になっています。

事業は大きくコンピュート(プロセッサやカスタムASIC)、ネットワーキング(イーサネット関連)、ストレージ(SSD/HDD向けコントローラやストレージコントローラ)、およびキャリア/車載・産業向け製品に分かれています。同社はファブレスモデルで外部の生産パートナーと連携し、ハードウェアに加えてファームウェアやソフトを組み合わせた高集積ソリューションで顧客の設計採用を狙っています。

経営方針

同社はデータインフラ向け半導体のリーディングサプライヤーを目指しており、データセンター分野への集中によって売上成長を図っています。実際に2025会計年度の連結売上高は約57.7億ドルで、そのうちデータセンター向けが約41.6億ドル、構成比72%と前年の40%から大幅に拡大しました。株主還元も重視しており、取締役会は2024年3月に既存の自社株買い枠に3.0億ドルの追加を承認し、2025年度は9.0百万株・7.25億ドルを買い戻すなど、配当と買戻しを合わせて年間約9.325億ドルを株主に還元しました。

重点投資の中心はデータセンター向けの研究開発と製品最適化で、同社は高性能なシステム・オン・チップ(SoC)設計やカスタムASIC、ストレージコントローラなどの統合ソリューションで差別化を図っています。2025年度にはデータセンターへのR&D比重を高めるためのリストラが実施され、買収資産の減損や棚卸資産、将来契約義務等を含むリストラ費用として7.118億ドルを計上し、一部市場向けの新製品計画を中止するなど投資の選択と集中を進めています。

新市場開拓と事業拡大については、同社はAI、クラウド、5Gなど成長領域での設計勝ち取りを優先し、顧客別に最適化したソリューション提供で採用拡大を狙っています。売上の約75%はアジア向け出荷であり、主要顧客集中のリスク管理のために販売体制を顧客軸で再編しているほか、ファンドリーや基板パートナーとの容量確保のために最長52週のキャパシティ予約や最大26週前の発注を行うなどサプライチェーン面の戦略も明示しています。加えて過去のInphiなどの買収を通じた技術・製品の外部取得を継続的な成長手段と位置づけていますが、統合リスクや資金コストの面で注意を払っています。

技術革新への取り組みは、同社の差別化の柱であり、省電力化やセキュリティ機能の強化に具体的投資を行っています。ファブレスモデルで高度なアナログ・ミックスドシグナル技術とデジタル処理を統合したチップ設計を進め、製品の電力効率向上を通じて顧客側の運用コストとCO2排出(Scope 3)低減に寄与することを掲げています。一方で事業拡大に伴う内部システムや組織のスケーリング、サイバーセキュリティ上のリスク管理にも注力しており、業務基盤の強化と革新の両立を図っています。