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- MONOLITHIC POWER SYSTEMS INC
MONOLITHIC POWER SYSTEMS INCMPWR
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事業内容
MONOLITHIC POWER SYSTEMS INCは、半導体を用いた電力管理ソリューションを開発・販売するファブレス企業です。同社は高効率の電源向けICを主力とし、電圧を変換・制御するDC‑DC製品などで省エネと小型化を図っています。これらは集積度が高く長いライフサイクルを持つ点が特徴で、システム全体のコストや環境負荷の低減につながります。
同社の売上は大部分がアジア向けで、2024年は約94%を占めました。販売は自社のアプリケーションエンジニアが顧客設計を支援した上で、大手ディストリビュータやODM/OEMを通じて行うことが多く、特定のディストリビュータ集中が収益構造の特徴です。請求は主に米ドル建てですが、顧客がアジアに偏っているため為替や在庫の影響を受けるリスクがあります。
事業面ではデータセンター、パソコン、自動車、産業、通信、コンシューマー向けなど幅広い用途に製品を供給しています。製品群はDC‑DC電源ICを中心に、高電圧・高効率の電力変換品や、2024年に買収したオーディオ用ICなどの新規カテゴリも展開しています。製造は外部ファウンドリに委託するファブレス方式で、同社は独自のプロセスやパッケージ技術、そしてシステム設計・回路設計・プロセス開発に注力して差別化を図っています。
経営方針
同社は中長期で業界平均を上回る成長を目指しています。直近では売上高が2023年の約18.2億ドルから2024年に約22.1億ドルへと伸びており(2024年売上高:$2,207,100千)、既存の製品群内での新製品投入と新カテゴリの開拓で収益を多様化することを掲げています。株主還元も成長戦略の一環と位置づけており、2025年2月には四半期配当を1株当たり$1.25から$1.56へ引き上げ、同時に最大5億ドルの自社株買いプログラムを承認するなど、キャッシュの一部を配当と自社株買いで還元する計画です(過去の買戻しプログラムでは約6.36億ドルを実行)。
同社は重点的に研究開発と製品差別化へ投資しています。研究開発はシステム設計、回路設計、プロセス技術の三領域に集中しており、独自プロセスやパッケージ技術を確立することで他社品より小型で高効率な「一体化」製品を提供しています。具体的には2024年にオランダのオーディオ半導体企業Axignを約3,340万ドルで買収し、取得した開発済み技術(償却可能な無形資産)や研究開発中の知財を取り込むなど、外部リソースの獲得にも積極的です。従業員は世界で約4,017名を擁し、応用設計と顧客支援に力を入れている点も差別化要素です。
同社は新市場開拓と事業拡大でも具体的な方針を示しています。ストレージ・コンピューティング、エンタープライズデータ、車載、産業、通信、コンシューマーといった複数の最終市場に製品を供給しており、特にアジア向けの売上比率が高く(2024年は約94%)、中国・台湾・韓国向けの売上構成が大きい点を踏まえて地域間のバランス改善と設計導入(デザインウィン)の拡大を図っています。製造はファブレスモデル(外部の製造拠点に委託)を採用しつつ、プロセス技術は自社仕様でファウンドリと協業することで歩留まりと性能を確保しており、サプライチェーンは中国・台湾・韓国・シンガポールなど複数拠点で分散させる方針です(典型的なサプライリードタイムは16〜26週)。
同社は技術革新を成長の核と位置づけ、エネルギー効率と高集積化で差を付ける戦略を継続しています。代表的な製品であるDC–DC変換ICは高電圧・高電流・高速スイッチング・小型実装を特徴とし、回路内の受動部品を削減してシステム全体の消費エネルギーや部品点数を下げることで顧客の総コストと環境負荷低減に貢献します。製品ライフサイクルは10年以上を想定する設計が多く、プロセス技術への継続投資とともに、次世代ICのための先端アナログ設計やパッケージ技術の開発を推進している点が同社の技術戦略の要です。