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- MEDICAL PROPERTIES TRUST INC
MEDICAL PROPERTIES TRUST INCMPW
事業内容
Medical Properties Trust Incは病院や回復期リハビリ、行動健康施設、長期治療施設、独立型救急など医療用不動産の取得・保有・賃貸を主な事業とする不動産投資信託です。同社は世界各地の医療施設を買い取り、長期リースで医療運営者に貸し出す形で安定的な賃料収入を得ています。
主要な顧客は病院運営法人や地域の医療事業者であり、収益の大半は賃料とローンの利息収入で成り立っています。同社は長期リースやマスタリースを活用し、共同出資やポートフォリオ売却を通じて資金調達やリスク分散も行っています。
事業は大きく賃貸(リース)事業、モーゲージやその他の貸付、そして非連結の共同事業への投資というセグメントに分かれています。同社は100%保有物件と共同保有物件の両方を運用し、賃料の物価連動条項や運営事業者への出資・融資を組み合わせて収益性を高める運用を行っています。
経営方針
同社は財務基盤の強化とキャッシュフローの安定化を成長の柱に据えています。具体的には、資産売却や資本調達で得た資金を借入金の返済や回転資本の補填に充てる方針で、2023年にはオーストラリアの11物件をA$12億で売却して同額のオーストラリア向けタームローンの一部返済やリボルビング信用枠の圧縮に充てました。配当の見直しも行い、四半期配当を1株当たり$0.29から$0.15に引き下げることで年間約$3.3億の現金節約を実現しています。直近では2025年2月に米ドル建て$15億およびユーロ建て€10億のシニア担保付きノートを発行し、期限到来前の社債償還やリボの返済に活用するなど、資本構成の最適化を目指しています。
重点投資分野は病院用不動産で、一般急性期病院、精神科・行動健康、リハビリ施設が中心です。同社は長期のネットリース構造を採用し、テナントが運営コストを負担する契約形態で安定収益を確保する一方、テナントと資本を共有する少数持分投資やローンを通じてオペレーターとの利害を一致させる差別化を図っています。過去数年は、欧州のMEDIAN向けにリハビリ施設を€7,000万で取得し、英国のPriory向けに行動健康病院5件を£4,400万で取得するなど、地域別・業態別に選択的な投資を行ってきました。また、資産の組成・分散を進めるためにマクアリーとのパートナーシップ等で共同保有スキームを活用しています。
新市場開拓と事業拡大は、ジョイントベンチャーや資産売却・再投資(キャピタルリサイクル)を通じて進めています。例として2024年4月にはユタ州の5病院を新設した合弁に売却し、同社は約25%の持分を維持して流動性を確保しつつ引き続き収益に参加する形をとりました。こうした手法により大規模なポートフォリオ案件へのアクセスとリスク分散を両立しており、今後も米国と欧州を中心に、ターゲットとなる病院群や事業規模に応じた共同出資・貸付・取得の組み合わせで事業を拡大する計画です。
技術革新とESG対応にも取り組んでおり、同社は効率的な運営と投資判断の高度化を目指しています。2024年にコーポレート・レスポンシビリティ報告書を公表し、温室効果ガスの測定やリーシングにおける環境条項の増加、GRESB・SASB・TCFDに合わせた開示を進めてきました。サイバーセキュリティではCSIRT(インシデント対応チーム)と取締役会の定期報告体制を整備し、従業員向け訓練や年次レビューを実施しています。これらの取り組みにより、同社は資産価値の維持と社会的責任の両立を図りながら、投資家にとっての長期的な安定還元を目指しています。