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ALTRIA GROUP, INC.MO
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事業内容
Altria Group, Inc.は米国を中心に成人向けたばこ製品と代替ニコチン製品の製造・販売を行う持株会社で、紙巻たばこや葉巻に加え、湿式無煙たばこや口腔用ニコチンパウチ、電子たばこなど幅広い製品を展開しています。主力ブランドの一つであるMarlboroを中心に高い市場シェアを持ち、近年はスモークフリー製品へのシフトを進めています。
同社の主要な顧客は21歳以上の成人喫煙者と、それらを扱う小売業者や卸売業者で、収益は製品の販売・出荷に伴う売上が中心です。収益構造は主力ブランドの価格力と出荷量に依存しており、紙巻たばこのボリューム減少をスモークフリーや口腔用製品の成長で補うことを目指しています。
事業は報告上、煙草製品(スモークブル)と口腔用ニコチン製品などに区分され、グループ内にはPM USA(紙巻たばこ)、Middleton(葉巻)、USSTC(湿式無煙たばこ)、Helix(ニコチンパウチ)、NJOY(電子たばこ)といった製造子会社があります。さらに国内流通や共通業務を担う子会社や、加熱式たばこの米国展開を目的とした合弁会社を通じて販売網と研究開発を支えています。
経営方針
同社は2028年に向けて明確な数値目標を掲げています。調整後の1株当たり希薄化後利益(EPS)を2022年の4.84ドルを基点に「ミッドシングル(中位の一桁台)%」の年平均成長率で達成すること、配当は年率で同じくミッドシングル%の成長を目指すこと、債務対連結EBITDA比率を概ね2.0倍に抑えること、そして毎年調整後営業会社利益率(OCIマージン)を少なくとも60%に維持することを掲げています。加えて、米国のスモークフリー事業では2022年の基準で800百万ユニットから少なくとも35%のボリューム成長を目標にし、ネット売上高を約2倍の50億ドル(うち20億ドルを革新的スモークフリー製品で)に引き上げる計画を打ち出しています。ただし、違法なフレーバー付き使い捨て電子タバコの拡大を受けてスモークフリー目標は再評価中で、正当な市場の展開が明確になり次第更新するとしています。
重点投資分野として同社は既存の強力なブランドポートフォリオ(Marlboro、Black & Mild、Copenhagen、Skoal、on!、NJOY など)と製造・流通の統合を差別化の軸に据えています。業務効率化の「Optimize & Accelerate」イニシアチブを通じて、業務の集中化や事務作業の外部委託、プロセスの自動化・標準化を進め、今後5年間で少なくとも6億ドルの累積コスト削減を見込み、その資金を事業再投資に回す計画です(初期段階の事前税費用は約1億〜1.25億ドルを見込む)。また、2023年にNJOYを約29億ドルで取得しており、FDAの承認に伴う追加支払いとして2024年に2.5億ドルを支払うなど、スモークフリー分野への直接投資も進めています。
新市場開拓と事業拡大では、同社は米国内のスモークフリー拡大に加え、海外の有望なオーラル・タバコ市場で競争力を高めること、加熱式タバコや電子蒸気(e‑vapor)市場への参入経路を整備することを目指しています。具体的には、日本たばこ(JTI)と共同で設立したHorizonを通じて米国での加熱式スティック製品の商業化を進め、非ニコチン分野にも参入して2028年までに少なくとも5製品の広い流通を確保する計画です。一方で、違法製品の流通拡大や消費者の購買力低下など市場環境リスクを注視し、目標や投資配分を柔軟に見直す姿勢を示しています。
技術革新への取り組みは二本柱です。まず業務面では前述の業務自動化やABS(Accelerated Business Solutions)組織の設置により、設計完了を2026年初めまでに目指し速度と効率を高めることに投資しています。次に製品面では、NJOYのFDAマーケティング承認取得など規制対応型の製品開発や、Helixによる口腔用ニコチンパウチやUSSTCのMSTといった製造能力強化を進め、サイバーセキュリティやIT基盤への投資でデータ保護とデジタル販売力の拡大を図っています。これらの投資は短期的なコストを伴いますが、同社はコスト削減分や資本を製品イノベーションと市場投入力に再配分する意向です。