MANNKIND CORPMNKD

時価総額
$18.2億
PER
吸入薬の新興企業。iSPERSE技術と吸入インスリンAfrezzaを展開。2024年7月にR&D資産を買収、2022年5月にV‑Goを買収。従業員407人、長期資産は約9950万ドル、米国・中国で展開。

事業内容

MannKind Corporationは、吸入による医薬品と糖尿病関連の投与装置を中心に事業を展開するバイオ医薬企業です。同社は吸入インスリン製剤(Afrezza)や使い勝手の良い貼付型・持続注入デバイス(V‑Go)などの商用製品を持ち、吸入送達技術「iSPERSE」を用いた新薬開発にも注力しています。

主要な顧客は医療機関や薬局、患者および医療機器の流通業者で、収益構造は製品販売収入を中心に、ロイヤルティやマイルストーン収入、ライセンス料、共同開発や受託開発による対価で成り立っています。製品販売だけでなく技術ライセンスやパートナーシップによる契約収入も業績に影響します。

事業は大きく商業製品、研究開発、製造・供給、ライセンス/コラボレーションの各セグメントに分かれます。商業製品部門はインスリン製剤やデバイスを扱い、研究開発部門はiSPERSEの適用拡大や新規吸入治療の実用化を進め、製造は米国や中国の拠点で行いながら外部企業との共同開発も実施しています。

経営方針

同社は商業製品の売上拡大とパイプラインの臨床進展による持続的成長と収益化を目指しています。2024年は純利益2,758万ドルを計上し、現金・現金同等物および投資は約2.03億ドルと手元資金に余裕がある一方、2025年2月時点の発行済株式数は約3.04億株で市場価値も一定の規模を有しています。成長を支える資金調達手段としては、ダンベリー製造施設の1.023億ドルの売却・リースバックや株式発行、転換社債の取り扱いなどを組み合わせ、商業供給と臨床開発の両面でキャッシュマネジメントを行っています。

同社は吸入薬物送達技術(Technosphere、最近のPulmatrix取引で得たiSPERSE等)と製造能力、臨床開発へ重点投資しています。2024年7月のPulmatrix取引では、iSPERSE関連の研究開発資産を430万ドルで取得し、BedfordやMarlboroughの研究施設や関連人員を引き継ぎました。従業員は合計407名で、そのうち238名が製造に従事しており、月額約101,282ドル(年3%増)のBedfordリースを含む既存設備を活用して製造体制を拡大しています。差別化の核は「肺への局所送達で有効性を高め、副作用を低減する」ことにあり、吸入ニンテダニブ(MNKD-201)などはこの戦略を具体化する例です。

同社は新市場開拓と事業拡大を積極的に進めています。MNKD-101は2024年6月に米国・日本・韓国・台湾・オーストラリアで第3相を開始しており、被験者の登録は2026年まで続く見込みで、MNKD-201については2025年上半期にFDAと遅期開発の方針を協議する計画です。商業面ではAfrezzaやTyvaso DPIの供給拡充とグローバル販売網の拡大を目指し、提携収入やロイヤルティ売却、株式・債務の組み替えを通じた資金確保によって事業基盤を強化しています。また、単独での開発に加え、他社とのライセンスや共同開発を活用して適用領域を拡げる方針です。

同社は技術革新にも継続投資しており、基盤となる吸入プラットフォームの改良、製剤とデバイスの統合、製造プロセスの最適化に注力しています。臨床開発では被験者の安全を重視し、CRO監査やインフォームドコンセントの徹底で品質管理を行い、フェーズ1での安全性確認やフェーズ3開始といったマイルストーン達成を通じて商業化へつなげる計画です。将来的には、肺局所療法に特化した製造ラインの拡張と品質保証体制の整備で競争優位を確立することを目指しています。