Magellan Midstream Partners, L.P.MMP

時価総額
$139.4億
PER
精製石油製品と原油の輸送・貯蔵・流通の米国大手。約9,800マイルの精製品パイプライン網、54のターミナル、総貯蔵容量3900万バレルを展開。2022年6月に独立系ターミナル26拠点を4億4620万ドルで売却。米国中心に展開。

事業内容

Magellan Midstream Partners, L.P.は、精製石油製品と原油の輸送・貯蔵・配送を主な事業とする企業です。同社は国内で最も長い精製製品パイプライン網を保有し、ガソリン・ディーゼル・航空燃料などの中長距離輸送とターミナルでの貯蔵や積み替えを行っています。

同社の顧客は精油所や大手燃料卸売業者、航空会社や産業ユーザーなどで、収益は主にパイプラインの通過料やターミナル・貯蔵の契約料、付帯サービス料から成ります。契約保管容量や最低流量のコミットメントなど長期契約により比較的安定した現金収入を確保しています。

事業は精製製品セグメントと原油セグメントに分かれており、精製製品側は約9,800マイルのパイプラインと54の陸上ターミナルおよび海上貯蔵を含むネットワークを運営しています。原油側は約2,200マイルのパイプラインと約3,900万バレルの貯蔵能力、分離・処理設備を保有し、一部資産は共同出資で所有して長期契約を基盤に稼働させています。

経営方針

同社は投資家への安定的な現金還元を成長戦略の中心に据えています。具体的には2023年の年間分配金成長率を1%目標としており、四半期分配金は1口当たり1.0475ドル、2022年に支払った総分配金は約8億7,000万ドルでした。経常的な営業キャッシュフロー(DCF)で分配や自己株式の買い戻しを賄い、余剰資金は成長案件や資本効率向上に振り向ける方針で、経営陣はDCFでこれらを賄えると見込んでいます。

同社は資産の維持・拡張に重点投資を行うことで差別化を図っています。保守的な設備維持費用(メンテナンス資本)は2022年に約8,190万ドルで、2023年は約9,000万ドルを見込んでいます。一方、増強投資(拡張資本)は2022年に約8,300万ドルを費やし、2023年は約1億1,000万ドル、2024年に約4,000万ドルを予定して既存プロジェクトを完成させる計画です。これらの投資は同社が保有する国内最長級の製品パイプライン(約9,800マイル)や原油パイプライン(約2,200マイル)、総保管容量約3,900万バレルといったネットワークの信頼性と接続性を高め、供給網の要として低コストで安定的な輸送を提供する狙いです。

同社は成長機会の取り込みと資本効率改善を両立させる方針で新市場開拓や事業再編を進めています。近年はニューメキシコやコロラド向けのパイプライン拡張などのボルトオン案件を完了し、テキサス州エルパソへの製品パイプライン拡張を着手しており、これによりテキサス、アリゾナ、メキシコの市場への接続を強化します。また、非中核資産の整理として2022年に独立系ターミナル網を4億4,620万ドルで売却するなど、資金の入手とポートフォリオ最適化を図っています。加えて取締役会は2024年までに最大15億ドルの自己株式買い戻し枠を承認しており、2022年は約4億6,290万ドルを買戻しました。

同社は技術革新と運用安全性の向上にも取り組んでいます。コンデンセート分離装置など既存の処理設備への投資に加え、設備信頼性や環境・規制対応を目的とした保守投資を継続し、従業員向けには安全教育や現場訓練を強化しています。これにより事故防止と稼働率向上を両立しつつ、パイプライン輸送が長距離輸送手段として低炭素で効率的であるという優位性を維持することを目指しています。