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MoonLake ImmunotherapeuticsMLTX
事業内容
MoonLake Immunotherapeuticsは、免疫を標的とした新薬の研究開発を主軸とするバイオ医薬企業です。主力候補である「SLK」を中心に、皮膚や関節の炎症性疾患を治療するための抗体治療の臨床開発を進めています。臨床試験や承認取得に向けた活動が事業の中心です。
同社の現時点での売上は製品販売からは発生しておらず、将来的には製品販売、ライセンス供与、マイルストーン支払いなどで収益を見込んでいます。現在は公募や増資などの資金調達で研究開発費を賄っており、今後は医療機関や患者、保険者、製薬パートナーが主要な顧客層になる見込みです。
事業は主に創薬研究、臨床開発、製造準備、規制対応、商業化準備の各機能で構成されています。チームは約100名でスイス、英国、ポルトガル、ベルギーに拠点を持ち、米国拠点の設立も予定しており、SLKを核とした開発パイプラインに集中しています。
経営方針
同社は主力候補品であるSLKの臨床開発を完了させ、最終的に承認・商業化へとつなげることを成長の中心に据えています。資金面では、2023年6月の公募で約4.37億ドルの純収入を得ており、子会社MoonLake AGへは複数回にわたり合計で数億ドル規模(2023年に275百万ドル、2024年に150百万ドルなど)を注入しています。加えて、2024年末時点でATMによる将来の売却枠が約2.65億ドル残っており、2024年にはATMで約5,250万ドルを調達しました。株式ベースの規模は大きく、2025年2月1日時点でClass A普通株式は約6,328万株を発行済であり、同社はこの資本基盤を用いて開発と市場投入を加速させることを目指しています。
研究開発への重点投資はSLKに集中しており、同社は「IL-17AとIL-17Fの両方に作用する」メカニズムを持つSLKを差別化要素と位置づけています。競合には複数の既存治療薬や開発中の薬剤があるものの、二重の標的を持つ点が同社の優位性になり得ると同社は考えています。ライセンス関連ではMHKDGやRCTとの契約があり、将来の売上に対して「低〜中位の10%台」のロイヤリティ支払いが見込まれているため、商業化シナリオではこれら費用も踏まえた収益計画を立てています。また、研究開発費や一般管理費が主要な支出項目であり、経営陣はキャッシュバーン(資金消費)の管理を重視して予算配分を行っています。
新市場開拓と事業拡大に関しては、欧州を拠点としつつ米国展開を重要な成長軸としています。従業員数は2024年末で約100名に達し、同社は2025年以降の採用を進めるとともに「2026年初頭までに米国でのプレゼンスを確立する」ことを目標にしています。拠点はスイス(本社)、英国、ポルトガルなどにあり、これらの拠点を基盤に臨床試験の運営、規制対応、将来の販売体制構築を進める計画です。商業化に向けては外部との共同開発や製造委託、ライセンス交渉を柔軟に活用して市場参入を図る方針です。
技術革新への取り組みとしては、臨床試験の質の確保と製造体制の整備に重点を置いています。同社は臨床試験を国際的な基準(GCPや倫理原則)に則って実施することを明確にしており、必要に応じて外部の専門家や契約製造機関を活用してスケールアップを図ります。内部統制についても経営陣は重要視しており、2024年末時点で財務報告に関する統制は監査法人の監査を経て有効と評価されています。これらの取り組みを通じて、安全性と有効性のデータを確実に積み上げ、市場での競争力を高めることを同社は目指しています。