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- MAUI LAND & PINEAPPLE CO INC
MAUI LAND & PINEAPPLE CO INCMLP
事業内容
MAUI LAND & PINEAPPLE CO INCは、ハワイ・マウイ島で広大な土地と商業不動産を保有し、土地の開発・管理・販売や賃貸、リゾート関連サービスを手がける不動産会社です。同社は約22,300エーカーの土地と約247,000平方フィートの商業施設を活用し、住宅やリゾート、商業、農業、工業用途の不動産を計画して活用しています。
主要な顧客は住宅や別荘を購入する個人、商業施設や農地を借りる事業者、そしてリゾート利用者や会員といった幅広い層です。同社の収益は土地や建物の売却収入、賃貸料、会員権やリゾート運営からの利用料、商標使用料や水道運営などのサービス収入を中心に構成されています。
事業は大きく土地開発・販売、賃貸、リゾート施設の三つのセグメントに分かれています。土地開発・販売では許認可取得から造成や関連工事、販売までを行い、賃貸部門では商業・農業・工業用地のリースに加え商標ライセンスや上下水管理、保全地域の管理で収益化を図っています。リゾート施設部門は会員制クラブやリゾート内サービスを運営して施設の魅力維持・向上に努めています。
経営方針
同社は保有する約22,300エーカーの土地と約247,000平方フィートの商業不動産を「資産を最も生産的に活用する」ことを成長戦略の中核に据えています。具体的には、土地開発・販売とリース収入の拡大を通じて資産価値を引き上げることを目指しており、2024年の賃貸収入は約773万ドルでした。配当は2001年以降支払っておらず、当面は利益を事業投資に回す方針であるため、内部留保で開発と運営基盤の強化を進めています。株式市場における規模感としては、時価総額が約1億6600万ドル、発行済株式数は約1,974万株(2025年3月27日時点)です。
同社は重点投資分野として土地開発・販売、商業・農業リース、リゾート関連サービスを挙げており、差別化の源泉は地域に根付いた資産管理力と長年の保全・農業の実績です。2024年は社外の専門家を取締役や経営陣に迎え入れ、現地に常駐する西マウイとアップカントリーのオフィスを開設するとともに、休耕地の生産的利用とリスク低減を担うランドマネジメントチームを新設しました。また、自治体や地域コミュニティと連携して、2023年の山火事で被災した事業者向けのタウンセンター改修など差し迫った施設改修にも投資しています。
新市場開拓と事業拡大は、許認可取得済みや許認可取得を目指す用地を活用した住宅や複合用途開発の前倒し実行に重点を置いています。具体的施策としては、設計・許認可費用などを計上している前開発段階を進め、自己施工で付加価値を確保することで土地販売や分譲による収益化を図ります。一方で開発資金は信用供与に依存する場面もあり、同社は第一ハワイアン銀行との1500万ドルのリボルビング融資枠を保有、同融資には流動性2百万ドル以上や総負債上限4500万ドルなどの契約条件が設定されています。必要に応じて資産売却や追加の資金調達を行う可能性があり、資本政策は流動性と希薄化リスクを踏まえた運用となっています。
技術革新については、事業運営とリスク管理の両面で実務的な投資を進めています。サイバーセキュリティではITマネジャーと外部の情報セキュリティコンサルタントを起用し、脆弱性評価や外部インテリジェンスの購読、監視ツールによる脅威把握を実施しています。また、共同事業の会計管理や内部統制の強化といった管理面のデジタル化も進めており、上下水道など地域インフラの維持管理やフィルトレーション費用の補填(2023–24年で約2.3万ドルの支出)など、事業継続性に直結する領域に技術とプロセス投資を行っています。