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MUELLER INDUSTRIES INCMLI
事業内容
MUELLER INDUSTRIES INCは銅・真ちゅう・アルミを中心に配管材や金属部品の製造販売を行う企業です。主力製品には銅管や継手、真ちゅうの棒材・形材、アルミや真ちゅうの鍛造品、冷凍用バルブや圧力容器、ワイヤ・ケーブルなどがあり、水栓やプラスチック継手といった商材の販売も手掛けています。事業拠点は北米を中心に欧州、アジア、中東など世界各地に展開しています。
同社は建設業界、空調・冷凍機器メーカー(OEM)、配管・設備の卸売、電力や通信分野の企業などを主要顧客にしています。売上は複数の産業向け製品と地域に分散しており、景気や金属市況の変動に影響を受ける一方で、買収による事業領域の拡大や製品ミックスで収益を安定化させる戦略を取っています。
事業は大きく配管システム、産業用金属、クライメイト(空調・冷凍)の三つのセグメントに分かれています。配管システムでは銅管・継手や電線類を扱い、産業用金属では真ちゅう棒材や各種成形品、近年買収した事業を通じてエネルギーインフラ向けのワイヤ・ケーブルも強化しています。クライメイトは冷凍用バルブ、熱交換器、断熱ダクトなどを中心にOEMや卸売向けに供給しています。
経営方針
同社は外部成長と株主還元を両輪に、収益拡大と長期的な利益率向上を目指しています。近年は各地域での買収を成長エンジンに位置づけており、2024年にはNehring社を約5.69億ドル、Elkhart社を約3,815万ドルで取得しました。Nehringの買収後、同社は買収日以降に売上高2.207億ドル、営業利益1,240万ドルを計上しており、プロフォーマでは2024年の連結売上高を約39.0億ドル、純利益を約6.09億ドルと試算しています。同時に、株主還元策としては2026年7月まで有効な4,000万株の自己株式買戻し枠を維持し、1999年以降で約1,590万株を既に買い戻しています。四半期配当は2024年に1株当たり0.20ドルに引き上げられ、キャッシュ創出力を重視した資本配分を行っています。
同社は事業ポートフォリオの強化を通じて差別化を図ることを重点に投資しています。製品面では配管材料、産業用金属製品、空調・冷凍向け部品といった三つのセグメントに特化し、銅管・継手、真鍮・アルミ製品、ワイヤ・ケーブルなど幅広い製品群で顧客のニーズを一気通貫で満たす体制を整えています。実際にNehringの買収では顧客関係に対して2.081億ドル、商標権に5,450万ドルを割り当てており、既存の販売網やブランド力、顧客基盤の獲得を明確な差別化投資と位置づけています。人材面でも約5,168名の従業員を抱え、株式報酬やインセンティブ制度で経営陣・技術者の確保に努めています。
新市場開拓と事業拡大はM&Aと既存拠点の活用を組み合わせて進めています。過去数年でヨーロッパ、カナダ、韓国、中東、米国などで事業を取得しており、特にエネルギーインフラ領域への本格参入を目的にNehringを取得した点が代表例です。これらの買収は主に手元資金で賄われ、Nehringには業績連動の追加対価(最大1,900万ドル)の条項を設けるなど、買収後の成長目標と連動した条件を持たせています。地域ごとの生産・流通拠点を活かして需要の取り込みを図ることで、OEMや卸売り向けの販売拡大を志向しています。
技術革新については製品開発とデジタル基盤の両面で投資を進めています。製品面では同社グループ内のTurbotecやWestermeyerなどで熱交換器や高圧部品、絶縁ダクトといった付加価値ある製品群の開発・生産を強化しており、買収により得た技術や顧客ノウハウも取り込んでいます。情報面では業務システムと顧客・サプライヤーデータの保護を重視し、物理的・技術的・管理的対策を含む正式なデータ保護プログラムとサイバーセキュリティ対策を運用しているため、システム停止や情報漏えいが事業に与える影響を低減する取り組みを進めています。