MKS INCMKSI

時価総額
$96.7億
PER
半導体・電子機器・特殊産業向けの真空・フォトニクス・材料ソリューションの大手。表面改質や電解・無電解めっき向けの特殊化学品、レーザー・真空装置、設置・保守・校正サービスを展開。2022年8月の買収で化学事業を拡充。2024年の国際売上比率は約78%で中国・韓国・日本・台湾・シンガポールで展開。

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企業概況
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業績概況
テーマ
ブランド
ライバル企業
1社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

MKS INCは、半導体や電子機器、航空・自動車・工作機械・家庭電器など幅広い分野向けに、製造プロセスを支える高度な装置と特殊化学品、そして設置や保守を含むサービスを提供しています。真空技術や光学・レーザー装置、表面処理やめっきなどの化学ソリューションを通じて、工程の計測・制御・改善に貢献しています。

同社は世界中の数千の顧客に製品・サービスを販売しており、顧客層は半導体装置メーカーやデバイスメーカー、プリント基板・パッケージ基板メーカー、さらに医療や研究、防衛分野の企業や機関まで多岐にわたります。上位10社で全体売上の約3割前後を占め、2024年は主要顧客が単独で10%を超えることはなく、国際売上比率が高い点が収益構造の特徴です。

事業は大きく真空ソリューション(VSD)、フォトニクス(PSD)、マテリアルソリューション(MSD)の三つの部門と、これらを支えるグローバルサービスに分かれています。VSDは製造ライン向けの真空機器、PSDはディスプレイや光学用途の光源・レーザー関連、MSDは表面改質やめっき用の特殊化学品と装置を中心に展開し、同社は設置、現地保守・修理、校正、延長保証といったアフターサービスも提供しています。

経営方針

同社は持続的な収益成長と株主還元の両立を成長戦略の核に据えています。2024年の売上高は約35.9億ドル($3,586M)で、半導体が42%、電子・基板が26%、特殊工業が32%を占めており、これら既存市場でのシェア拡大と利益率の改善を目指しています。株主還元では四半期配当を1株当たり$0.22(2024年は年間合計$0.88、総額約5900万ドル)で継続的に支払う方針を示しており、2011年承認の自社株買い枠(上限2億ドル)も資本配分の重要施策としています(同制度開始以来の買付実績は約1.27億ドル、約260万株)。

同社は設備・材料・化学を横断する重点投資で差別化を図っています。真空・ガス供給などの基盤技術を持つVSD、レーザーや光学を中心とするPSD、表面処理や電解めっきを担うMSDという三部門を通じ、機器と専用化学を組み合わせた「システム+化学」型の提案で顧客に付加価値を提供しています。特に2022年のAtotech買収(買収対価約56.6億ドル、のれん約30.5億ドル、無形資産約27.3億ドル)は化学分野への本格投資を象徴しており、同社はこの分野を成長の柱に育てることを狙っています。

同社は国際展開とM&Aを成長の主要手段と位置づけています。2024年は売上の約78%が海外で発生しており、中国、韓国、日本、台湾、シンガポールが主要市場です。グローバルに製造・研究拠点を保有している(例:中国・広州工場の面積約704,000平方フィートなど)ことを活かし、地域別の顧客ニーズに合わせた製品投入や現地サービスを強化して市場浸透を図っています。加えて、過去のElectro Scientificなどの買収実績に見られるように、事業領域拡大のための選択的な買収は今後も戦略の一部です。

同社は技術革新を継続的投資の中心に据え、製品ポートフォリオの高度化を進めています。世界に15か所ある技術センターを拠点に、微細化対応のプロセス機器、レーザー加工や光学計測、プロセス制御ソフトウェア、専用化学の開発を推進し、3次元構造や新材料への対応を早期に実現することを目指しています。製品ラインの再編(例:光学センシング製品のVSDへの移管)や長期的な研究投資を通じて、顧客の生産性向上や微細化ニーズに応える差別化技術を強化しています。