MARKEL GROUP INC.MKL

時価総額
$258.8億
PER
専門保険と多業種投資を手掛ける大手持株会社。一般賠償、サイバー、海事、エネルギーなどの専門保険商品とグループの多業種事業を展開。2024年6月に環境サービス会社を98%取得(1.564億ドル)、同9月に国際教師派遣会社を68%取得(1.677億ドル)で買収。米国中心に展開(2024年に売上の94%を計上)。

事業内容

MARKEL GROUP INC.は専門性の高い保険引受を中核に据え、幅広い業種向けの保険事業と多様な子会社群への投資で成長する持株会社です。 同社は引受保険で得た資本を基盤に、独立性の高い事業会社群(Markel Ventures)にも投資し、保険収入と事業収益の両方で収益を作るビジネスモデルを取っています。

同社の主要顧客は中小企業から大手企業までの商業アカウントや保険ブローカーで、保険料収入が中核の収益源です。 また、投資収益やMarkel Venturesの製品・サービス売上も重要な収益源となっており、ブローカー集中のリスク(上位数社で高い割合を占める)や投資変動の影響を受けます。

事業は大きく保険事業とMarkel Venturesに分かれ、保険では一般賠償、専門職向けの賠償、サイバーリスク、海運・エネルギー、個人向けの趣味性保険、財産(災害リスク含む)や再保険、プログラム運営など多様な商品を扱います。 Markel Ventures側は製造、建設資材、消費財、生花生産、サービス業やコンサルティングなど業種が多岐にわたり、各社の自治を尊重しつつグループ全体で安定性を高める戦略を取っています。

経営方針

同社は保険事業を中核に据えつつ、持続的な成長と資本効率の向上を目指しています。具体的には連結の負債対資本比率をおおむね20%の目標レンジ内に維持し、内部留保を重視して配当は当面見送る方針です。株主還元の手段としては取締役会が2024年11月に上限20億米ドルの自社株買いプログラムを承認しており、2024年10月〜12月にかけて合計105,186株を平均1,654.66ドルで買い戻すなど資本配分を積極的に行っています。また、2024年5月には6.0%、満期2054年のシニアノート600百万ドルを発行し、買収や資本政策に備える資金を確保しました。

重点投資分野は専門性の高い引受(スペシャリティ保険)と、独立運営の事業投資群であるMarkel Venturesです。保険では一般賠償、プロフェッショナル賠償、サイバー、海事・エネルギー、災害リスクに強みがあり、再保険やプログラムビジネスも拡充しています。差別化戦略としては、細分化されたニッチ市場に深い専門性で入り込み、引受の健全性(アンダーライティング)を重視することで長期的な収益性を確保するモデルを採っています。保有資産面でも持株会社の投資残高は2024年末で約43億ドルに達し、そのうち株式や短期資産の比率を高めて機動的な投資・買収に備えています。

新規市場開拓と事業拡大では、M&Aを通じたポートフォリオの多様化を明確に打ち出しています。2024年は教育関連のEducational Partners Internationalに対して68%出資(投資額約1.677億ドル)、環境サービスのValor Environmentalを98%取得(支払総額約1.564億ドル)するなど、Markel Venturesを通じた買収を加速しました。EPIについては規制承認を受けた時点で連結に移行する計画を公表しており、持株会社の資金は買収、株式買戻し、子会社配当のいずれにも充当可能としています。こうした買収・統合は成長機会を狙う一方で、買収後の統合やのれんの回収可能性に関わるリスク管理も並行して行っています。

技術革新への取り組みでは、業務プロセスの効率化と引受・価格設定の自動化に注力しています。具体的にはクラウド基盤やデータセンターの活用、外部ベンダーによる人事・業務プロセスのアウトソーシングを進め、顧客や代理店の体験を向上させるためのワークフロー改革を行っています。また人工知能や機械学習の活用を模索している一方で、第三者によるAI利用やモデルの有効性、データセキュリティ、規制対応といったリスクを認識しており、外部サービスの監督や内部統制の強化を講じています。