MCCORMICK & CO INCMKC

時価総額
$170.8億
PER
香辛料・調味料の最大手。消費者向けブランドと企業向けフレーバーソリューションを展開。2024年11月30日時点でのれん約52億ドル、無形資産約30億ドル、2019年承認の自社株買い枠6億ドルのうち残高約4.48億ドル。米国・欧州・アジア太平洋で展開。

ランドスケープPowered by 会社四季報オンライン

企業概況
112文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
1項目)
ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
2社)

事業内容

MCCORMICK & CO INCは、世界的な香辛料やハーブ、シーズニング、調味料、ソース類の製造・販売を手掛ける食品企業です。同社は家庭向けの瓶詰めやパッケージ製品のブランド事業と、食品メーカーや外食産業向けのカスタムフレーバー(フレーバーソリューション)の両方を展開しています。

主要な顧客はスーパーマーケット、量販店、会員制倉庫店、ドラッグストア、EC事業者といった小売業者や卸・ディストリビューターに加え、食品メーカーや外食チェーンなどの法人顧客です。同社の消費者向け事業では売上の約3分の2がスパイス・シーズニングと調味料/ソースから生まれ、プライベートブランドの供給も重要な収益源になっています。通年ではホリデー需要の影響で第4四半期に売上や営業キャッシュが高まる季節性があります。

事業は大きく消費者向けセグメントとフレーバーソリューションの二本柱に分かれており、消費者向けは自社ブランドの維持・拡張やマーケティングで市場シェアを狙っています。同社のフレーバーソリューションは調合ブレンドやコーティング、複合フレーバーなど幅広い製品群を食品メーカーや外食向けに提供し、感覚評価や料理研究といった技術を活かして長期的な顧客関係を築いて差別化を図っています。

経営方針

同社は長期的に売上高を年率4〜6%(為替一定ベース)で拡大し、調整後営業利益を年率7〜9%伸ばし、調整後1株当たり利益を年率9〜11%増やすことを目指しています。直近では2024会計年度の売上高は前年から0.9%増加し、営業利益は10億603万ドル、特別項目除く調整後営業利益は10億698万ドルで前年から約4.5%増加、調整後1株当たり利益は2.95ドルで前年度比9.3%増となりました。成長は基盤事業、既存ブランドの新商品、そして買収の3本柱で進め、買収は中長期の売上成長の約3分の1を担う見込みです。

重点投資分野はブランドマーケティングの最適化と差別化された商品開発です。同社はデジタル広告を高リターンの投資と位置付けてパーソナライズされたレシピ提案や料理アドバイスで消費者と直接つながる施策を強化しています。商品面では高付加価値のプレミアム商品から利便性や価格訴求のある品まで幅広く開発し、食品メーカー向けのフレーバー提案では「クリーンラベル」やオーガニック、健康志向の商品ラインを拡充して差別化を図っています。世界に20か所以上ある商品開発拠点を通じて地域ニーズに合ったイノベーションを推進しています。

新市場や事業拡大は買収と地域展開で進めています。同社は買収を通じて既存の強みがある先進国・新興国での規模拡大を狙い、フレーバー需要や健康志向の高まりに応える対象を優先しています。2024年度は約39%の売上が米国外で発生しており、食材や調味料の需要が伸びる市場やフードサービス、eコマースなど新たなチャネルでの拡大にも注力しています。資本配分では配当や自社株買いも並行して行い、2019年承認の6億ドル枠のうち2024年11月時点で約4.48億ドルが残る状況です。

技術革新への取り組みでは業務基盤の近代化と生産性向上を重視しています。同社は業務プロセスとITを一体で変える「事業変革イニシアティブ」を進め、グローバル業務サービス(GBS)への移行や基幹業務システム(ERP)の全面導入を計画しています。また、CCIと呼ぶ継続的コスト改善プログラムや業務効率化プログラムによりコスト削減を図りつつ、デジタルマーケティングやデータ分析の活用で消費者インサイトを商品の企画・販売に結びつけています。クラウド利用やサイバーセキュリティ投資も進めていますが、システム導入や外部リスクの管理が成否を左右する重要課題であると認識しています。