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- AG Mortgage Investment Trust, Inc.
AG Mortgage Investment Trust, Inc.MITT
事業内容
AG Mortgage Investment Trust, Inc.は、主に非政府保証の住宅ローンに投資するモーゲージREIT(住宅ローンを投資対象とする不動産投資信託)です。 同社は新規に組成された住宅ローンを取得し、短期および長期の資金調達を組み合わせて証券化を行い、配当と資本の増価を通じて株主に魅力的なリターンを目指しています。
同社の主要な顧客は株主や機関投資家で、同社が保有・発行する住宅ローン関連の証券を購入する投資家層が中心です。 収益は主にローンから得る利息と借入コストとの差額(ネット金利収入)に依拠しており、加えてモーゲージバンキングによる手数料収入や証券化・売却による損益も収入源になっています。
同社は事業を「ローンと証券」の単一セグメントで運営しており、投資ポートフォリオは住宅ローン関連投資(非政府保証ローン、機関基準に適合するが保証対象外のローン、住宅担保ローンなど)と政府保証付きの住宅ローン証券で構成されます。 また、同社は住宅ローンの供給源として持分を有するArc Homeを通じてローン取得・サービシングに関与し、TPG Angelo Gordonの証券化プラットフォームで長期非リコースの資金調達を行うほか、WMC買収により商業ローンや商業用ローン担保証券(CMBS)などの資産も組み入れています。
経営方針
同社は長期的に株主へ魅力的なリスク調整後リターンを提供することを目指しています。具体的には配当と資本増価を主要なリターン源と位置づけ、2024年には通年で一株当たり合計0.75ドルの現金配当を実施しました。自己資本効率の管理では自己株式買戻しや株式発行の両面を活用しており、取締役会は2023年に最大1500万ドルの買戻し権限を承認、さらに2024年には最大7500万ドルの「随時発行」型売出し枠を証券会社4社と設定しています。バランスシート面では2023年のWMC買収によってポートフォリオが約12億ドル増加し、買収対価は当社株式発行等で約5116万ドル相当が計上されました。
投資の重点分野は非政府保証(ノンエージェンシー)住宅ローンを中心とした住宅関連資産で、適格ローン(QM)と非適格ローン(Non‑QM)、住宅ローン担保証券、住宅ローンの再担保トランシェなどが主要ターゲットです。差別化の源泉として、同社はArc Homeへの約44.6%出資を通じた自社向けのローン供給ルートを保有するとともに、TPG Angelo Gordon(旧Angelo, Gordon)傘下の専有的な証券化プラットフォームを用いて短期の借入から長期・ノンリコースの資金調達へつなげる実務ノウハウを持っています。加えて、買収したWMC由来の商業ローンやCMBSなどの「Legacy WMC Commercial Investments」については満期保有または機会があれば導出する方針で、資産構成の柔軟性を確保しています。
新市場開拓と事業拡大は、主にM&Aと資本市場の活用で進められています。直近では2023年12月のWMC買収により投資残高が約12億ドル増加し、その結果として担保付きローンやRMBSの品揃えが拡大しました。流動性確保のため同社は普通株・優先株・社債など多様な資金調達手段を想定しており、マネージャーによる株式発行や私募、上場債の発行を含めて必要資金が調達可能であると見込んでいます。経営面ではTPGによるグローバルな支援(2024年時点で約2460億ドルの運用資産を有するグループ)を受け、外部資本や提携チャネルを通じた拡大を図っています。
技術革新については、同社は証券化プラットフォームと多チャネルのローン起源・サービシング(Arc Home)を中核に、トランザクションの効率化とリスク管理の高度化を図っています。具体的施策としては、短期買入から長期証券化へ繋げるプロセスの標準化や、評価モデルと市場データの整備による資産評価の精緻化を進めています。さらに開示や内部統制にも力を入れており、2024年12月31日時点の内部統制は有効と評価され、外部監査人(Deloitte)がこれを監査済みです。サイバーセキュリティとデータ管理はマネージャーと連携した体制で運用リスク低減に取り組んでいます。