MGP INGREDIENTS INCMGPI

時価総額
$4.9億
PER
蒸留酒製造と食品用小麦原料の大手。プレミアム以上のウイスキーブランドやFibersym®等の特殊小麦成分を展開。2023年6月のPenelope買収。2024年売上高は703,625千ドル。米国・欧州・メキシコ展開。

事業内容

MGP INGREDIENTS INCは、蒸留酒の製造・自社ブランド販売と小麦由来の食品原料の製造・販売を柱に事業を展開しています。同社はバーボンやライなどの高品質な蒸留アルコールを生産するとともに、自社ブランドのスピリッツを卸や州政府ルートで販売し、契約ボトリングや樽貯蔵・熟成といった付帯サービスも行っています。

収益は主に製品の売上と貯蔵やボトリングなどのサービス収入で構成され、商品売上は引渡し時に、継続的な倉庫・ボトリングサービスは時間経過で認識しています。同社はディストリビューターや小売チャネル、食品加工業者といった幅広い顧客を持ち、事業ごとに上位顧客への売上集中が見られる点が特徴です。

事業は大きく蒸留製造、ブランド販売、原料製造の三つのセグメントに分かれています。蒸留製造ではブラウンスピリッツ(バーボン等)や無色スピリッツ(ウォッカ等)、副産物や飼料原料を扱い、樽の保管・熟成サービスを提供します。原料側では、機能性の高い特殊小麦でん粉や小麦たんぱくなどに注力し、製パンやタコス生地、代替たんぱく等の食品加工分野向けに付加価値の高い製品の比重を高めています。

経営方針

同社はディスティリング(原酒・バルクアルコール)、自社ブランドの蒸留酒、食品向け原料の三本柱を活かして、売上と利益のバランスを高める成長を目指しています。2024年の連結売上高は約7.0億ドルで、経営は買収と自社投資、株主還元の組み合わせを基本戦略としています。具体的には買収によるプレミアムブランド強化(例:2023年のPenelope買収で現金約1.05億ドル、業績連動で最大約1.11億ドルの追加支払いの可能性)と、1億ドル規模の自社株買い枠の設定、四半期配当として1株あたり0.12ドルの支払い継続といった資本配分を行っています。

同社は重点投資分野として「高付加価値の特殊小麦成分」と「プレミアム蒸留酒」の両方に注力しています。Ingredient Solutionsでは、より高いマージンが見込める特殊小麦での販売シフトを進め、耐性でん粉のFibersym®(FDA承認の食物繊維)やArise®タンパクなど独自プロセスによる製品で差別化を図っています。一方Branded Spiritsではバレル貯蔵による熟成資産(バレル在庫は約2.83億ドル相当)や高付加価値ブランドの拡充で価格帯別ポートフォリオを強化しており、買収で得たブランドと流通関係を活用してプレミアム分野の拡大を目指しています。

同社は海外・新市場の開拓と事業拡大にも積極的です。メキシコの蒸留所とアガベ農場を含む合弁(DGL、Agricola)や北アイルランドの充填・ブレンド拠点を通じてテキーラや輸出チャネルを拡大しており、2024年の海外売上は約3,624万ドルに達しています。契約ボトリングやプライベートラベル、蒸留所の直販(来訪者施設)といったチャネル多様化も進めており、買収は現金と借入を組み合わせて実行する一方で、のれん減損(2024年に約7,375万ドル計上)など統合リスクの管理も重視しています。

同社は技術革新を差別化の源泉と捉え、製造プロセスや製品開発に投資しています。特殊でん粉の抽出・精製やスプレー乾燥などの独自工程、非遺伝子組換え認証や植物由来のテクスチャードプロテイン開発といった取り組みで機能性とクリーンラベルを両立させています。設備投資にも積極的で、固定資産は2024年末で約3.17億ドル(純額)に拡大しており、生産能力と品質管理を高めることで顧客の要求に応え、差別化を維持することを目指しています。