Medpace Holdings, Inc.MEDP

時価総額
$164.7億
PER
臨床開発受託(CRO)の世界的最大手。フェーズI–IVのフルサービスと中央検査・バイオ分析ラボを展開。2024年に株式買戻しで527,160株、1.742億ドルの実施。約5,900人で北米・欧州・アジア44カ国展開。

事業内容

Medpace Holdings, Inc.は世界的な臨床開発支援企業で、製薬・バイオ・医療機器メーカー向けに臨床試験の設計から実施、解析までのフルサービスを提供しています。同社は治験の企画・モニタリング、データ管理、規制対応、薬の安全性監視など科学的に高度な業務を一貫して手がけています。

顧客は小規模から中堅、そして大手製薬会社まで幅広く、特に小・中規模のバイオ企業の開発支援を多く受託しています。収益は契約に基づく手数料が中心で、固定報酬型や作業単位型が一般的であり、契約時の前払いや進捗に応じた請求により売上を計上しています。同社は必要に応じて顧客プロジェクトへの出資や支払い条件の柔軟化といったリスク共有や資金支援にも応じています。

事業は中央検査室、バイオ解析ラボ、臨床薬理施設、画像解析や心電図読影などのサービスラインに分かれています。中央検査室ではバイオマーカー等の専門検査や試料保管を、バイオ解析ラボでは試験法の開発・検証とサンプル解析を行っています。また、がん、代謝疾患、循環器、脳神経、抗ウイルス領域に強みを持ち、世界各地の拠点を通じて多様な患者プールと現地規制対応力を提供しています。

経営方針

同社は売上拡大と株主還元の両立を成長戦略の中核に据えています。直近では2024年の売上高が約21.1億ドル(前年約18.9億ドル)と前年比で約12%の成長を示しており、世界有数の受託臨床開発機関(CRO)としての地位を強化しています。資本配分では現金創出力を背景に自社株買いを積極化しており、2024年第4四半期に1.742億ドルを株式買付に投じ、年内では52.7万株を取得しました。同社は安定的なキャッシュフローで事業投資と株主還元を両立することを目指しています。

同社はがん、代謝性疾患、循環器、中枢神経、抗ウイルス/抗感染症などの重点治療領域に重点投資し、フルサービス(第I〜IV相)を一貫して提供する点で差別化を図っています。具体的には、中央検査室やバイオ解析ラボ(シンシナティのGLP準拠施設)、臨床施設、試料保管サービスなど垂直統合した設備を整備しており、2024年の各治療領域別売上では腫瘍領域が約6.51億ドル、代謝領域が約4.58億ドルと高い比率を占めています。同社は営業プロセスの早期段階から医学・科学の専門家を顧客提案に組み込み、プロジェクトの一元管理によって試験完了までのスピードとコスト効率を高めることを目指しています。

同社は新市場開拓と事業拡大に向けてグローバル展開を推進しています。約5,900名の従業員が44か国で稼働する国際プラットフォームを活用し、多様な患者プールと現地規制対応力でグローバル試験の受注を伸ばしています。また、顧客との関係では、必要に応じて戦略的投資や支払い条件の柔軟化、報酬の一部をリスク連動にするなどのリスク共有型の契約構造も選択肢として用意しており、これにより特に小〜中規模バイオ企業との案件獲得を狙っています。資金面では設備投資や運転資金確保のために信用枠を維持しつつ、余剰資金は事業成長と株主還元に振り向ける方針です。

同社は技術革新を通じた付加価値創出に注力しています。自社の中央検査やバイオ解析で高感度の独自アッセイや分子・遺伝学的検査を開発・提供するとともに、試験データ管理や営業の効率化に顧客関係管理ツールや分析を活用しています。商標名ではClinTrakやIntellipaceといったプラットフォームを保有しており、品質保証チームによる規制対応や監査対応の強化と合わせて、データの信頼性と試験迅速化を実現することを目指しています。2024年には設備投資を通じて実務能力を拡大しており、今後もラボ機能やデジタル基盤への投資を継続する方針です。