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MODIV INDUSTRIAL, INC.MDV
事業内容
MODIV INDUSTRIAL, INC.は主に工業製造用の商業用不動産を保有し、管理・運用・賃貸する不動産投資信託(REIT)です。同社は非中核のオフィスや小売資産を縮小し、長期リースの工業用物件の取得を戦略の中心に据えています。
同社の収益は保有物件からの賃料がすべての収入源で、複数州に分散した物件群から賃料を得ています。主要テナントにはLindsayやカリフォルニアのKIA小売物件があり、大口テナントが賃料の大きな割合を占めるためテナント集中のリスクも存在します。
同社は全ての不動産を一つの事業セグメントとして取り扱い、各物件ごとに運営成績を評価しています。近年は工業用物件の比率を高め(賃料ベースで高い比重)、長期契約を持つ物件を中心にポートフォリオの安定化を図っています。
経営方針
同社はAFFO(調整後の流動資金)成長と持続可能な現金配当の実現を成長戦略の中核に据えています。具体的には工場や製造拠点といった「産業系(インダストリアル)不動産」への傾斜を強め、ポートフォリオの産業比率を2024年末時点で約78%(総賃料基準)まで高めることに成功し、賃貸期間の加重平均残存年数(WALT)を約13.8年へと延長しました。資金調達面では最大2億ドルの登録枠の下でATM(市場売却)やDRP(配当再投資)を活用しており、2024年はATMで約52万株を発行して純額約770万ドルを調達、またDRPの購入割引を従来の3%から5%に引き上げる施策も行っています。
同社は重点的に「重要な産業製造施設」を狙い、テナントが長期リース(取得時点で15年以上を重視)を結ぶ単独テナントのネットリース物件を差別化要因としています。買収の際は個別物件の割安性やテナントの供給網における重要性を重視し、2023年には12物件で約1億2980万ドルを投じ、2024年には防衛・航空分野向け光学系を生産するフロリダ物件を約510万ドルで取得し20年のセール・リースバックを実行しました。こうした長期安定収入とポートフォリオの選別・運用によって、賃料収入の安定化と資産価値の上積みを図っています(ただし主要テナント集中のリスクは開示されています)。
新規市場の開拓と事業拡大については、製造業の「オンショアリング(国内回帰)トレンド」を追い風に、全米での重要製造施設の取得を継続する計画です。取得手法は同社が唯一のジェネラルパートナーを務めるオペレーティング・パートナーシップを通じた直接買収だけでなく、ジョイントベンチャーやテナント・イン・コモン、他のREIT・プライベートポートフォリオの取り込みなど多様です。非中核の小売・オフィス資産は段階的に売却しており、2023年には14物件で総額約4,750万ドルの売却を実行、2024年にも一部物件を処分してポートフォリオを製造特化へシフトしています。また資本政策では私募での自社株・OPユニットの買戻し(2024年8月に合計1,150万ドルの買戻し実行)や変動金利の与信枠(SOFR連動)を活用し、成長機会に対応できる資本構成を維持しています。
技術革新への取り組みでは、特に情報セキュリティを重視し、層状の対策、従業員教育、外部モニタリングの導入といった具体的施策を実行しています。監督面では監査委員会がサイバーリスクの監督を行い、最高会計責任者やITチームが定期的に状況報告を行う体制を整備しているほか、SaaSなど外部サービスの利用に伴うリスク管理や業界標準フレームワークに基づく評価を行っています。加えて物件取得では割引現在価値や市場比較といった評価手法を用いて価値測定を行い、テクノロジーとガバナンスの両面で安定的に事業を拡大しようとしています。