Medtronic plcMDT

時価総額
$1272.9億
PER
医療機器・治療デバイス分野の米国最大手。脳血管用コイルやステント、脊髄・脳刺激装置、MiniMed 780Gなどを展開。2025年5月に糖尿病事業の分社化計画発表、2024年2月に人工呼吸器事業撤退。150カ国超で米国・欧州・中国・日本を中心に展開。

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企業概況
107文字)
業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
1項目)
ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
4社)

事業内容

Medtronic plcは世界的な医療機器メーカーで、心臓病や神経疾患、脊椎疾患、糖尿病、外科・急性期医療など向けに治療用デバイスと関連サービスを開発・販売しています。主力製品はペースメーカーや人工弁といった心臓向け機器、脳血管治療や神経刺激装置、インスリンポンプや連続血糖測定といった糖尿病管理機器、手術用器具と患者モニターなどです。

同社は病院や外来手術センター、医師、統合医療ネットワークや購買団体を主な顧客としており、直販の営業担当と独立販売業者を組み合わせて世界中に製品を届けています。売上は機器本体の販売に加え、消耗品や保守・サービス、病院での委託在庫からの収入が混在しており、主要市場は米国、西欧、中国、日本です。

事業は複数のセグメントで運営しており、神経刺激や脳血管治療を扱うニューロモジュレーション部門、外科・内視鏡と急性期モニタリングを含む医療外科部門、心臓血管や脊椎治療製品を扱う部門、そして糖尿病管理を担当する事業部があります。糖尿病事業はポンプやセンサーが中心で、同社はこの事業の分社化と独立上場を進める計画を発表しています。

経営方針

同社は長期的な株主価値の向上を成長戦略の中核に据えています。具体的には2025年5月に発表した糖尿病事業の分離を通じて、約18か月以内に糖尿病領域を独立した上場会社にすることを目指しています。財務面では、市場価値は2024年10月時点で約1,162億ドル、発行済株式数は2025年6月時点で約12.8億株と大規模な資本基盤を持ち、事業別では医療外科事業の2025会計年度売上高が84億ドルで横ばい、神経刺激・神経科学事業は前年同期比で約11%の増収といった実績があります。加えて、期間の長い契約に基づく未履行のパフォーマンス債務は約3億ドルで、主に今後3年で収益化される見込みです。

同社は重点投資分野として低侵襲手術への移行(Open-to-MIS)、手術ロボット(Hugoロボティクスシステム)、パワードステープラーやエネルギー機器(LigaSureなど)、患者モニタリング・気道管理機器、そして神経調節デバイス(脊髄刺激や脳深部刺激)を挙げています。差別化戦略は単体製品の販売にとどまらず、手術用画像装置やロボット、インプラントを組み合わせた統合ソリューション(例:AiBLEやUNiDによる術前計画と個別化インプラント)を提供することで、医師との長期的な関係構築とクロスセルを強める点にあります。同社は販売組織を専門領域別に編成し、臨床現場に密着した支援で他社との差別化を図っています。

新市場開拓では、国際市場の未浸透領域の取り込みを重視しており、中国や日本、西欧など主要市場に加え、価格感度の高い新興市場向けにコスト効率の良い製品を投入して市場を創出する計画です。外科ロボットや低侵襲治療の普及促進で手術中心の市場を広げること、ならびに婦人科や骨盤底治療、耳鼻咽喉分野などケアの連続性を横断する製品で適用領域を拡大することを目指しています。加えて、2025年に表明した糖尿病事業の分離は、各事業の成長戦略をより集中させるための重要な事業再編施策です。

技術革新への取り組みは、製品のハードウエア改良だけでなくデータとアルゴリズムの統合に重点を置いています。具体的には、脊髄刺激のInceptivのような生体信号に応じて出力を自動調節するクローズドループ型デバイスや、脳深部刺激装置PerceptのBrainSense技術など、センシングと適応制御を組み合わせた製品を拡充しています。さらに、Touch Surgery Enterpriseのような手術映像と解析を組み合わせたAIプラットフォームや、UNiDによる術前プランニング支援といったソフトウエア投資も進めており、近年の買収では2025会計年度に取得した純資産の公正価値が1.28億ドル(うち研究開発資産など含む)といった形でR&Dや技術の取り込みを継続しています。同社は技術を軸に臨床効率と患者アウトカムの改善を目指しています。