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- MUSTANG BIO, INC.
MUSTANG BIO, INC.MBIO
事業内容
Mustang Bio, Inc.は臨床段階のバイオ医薬品企業で、難治性のがんや自己免疫疾患を対象にした細胞・遺伝子治療の開発に注力しています。主力は患者の免疫細胞を改変するCAR T療法や腫瘍を狙うオンコリティックウイルスなどで、大学や研究機関から技術をライセンスして臨床試験を進めています。
同社は現時点で製品販売による収益を持っておらず、病院や個人が直接の顧客というよりは研究機関や製薬パートナー、投資家との提携や資金調達によって事業を維持しています。収益構造は主に株式発行やワラント行使などの資金調達、共同研究やライセンス契約に伴う支払い、将来的にはマイルストーンやロイヤリティに依存しています。
事業は大きく二つの領域に分かれており、一つは血液系のがんや自己免疫疾患を狙うCAR T療法、もう一つは固形腫瘍向けのCAR Tとそれを補助するオンコリティックウイルスの開発です。各候補は提携先の医療研究機関と独占ライセンス契約の下で臨床開発を進め、製造は自社と外部の製造パートナーで行い、規制承認と商業化を目指しています。
経営方針
同社は長期的に難治性がんや自己免疫疾患の「治癒につながる治療」を事業化することを成長の主軸としています。具体的には、大学・研究機関からの独占ライセンスを取得して臨床開発を進め、最終的には自社で上市するか、アウトライセンスで収益化することを目指しています。財務面では2024年末時点で累積赤字が約3億9,670万ドルに上る一方、2024年の資金調達では約1,120万ドル、2025年2月の公募で純額約690万ドルを調達しており、当面は追加の公募や提携による資金確保で事業継続を図る方針です。
同社は研究開発の重点をCAR‑T療法(患者の免疫細胞を改変して腫瘍を攻撃させる治療)と腫瘍に対する補助治療に置いており、これが差別化戦略の中核です。具体的には、脳腫瘍向けのIL13Rα2標的CAR‑T(MB‑101)やHSV‑1由来のオンコリティックウイルスを組み合わせる開発(MB‑108)など、世界的な研究機関(City of Hope、Fred Hutch、Nationwideなど)との独占ライセンス契約を通じて技術を確保しています。資金効率を高めるため、2024年には研究費を従来の約4,051万ドルから約757万ドルに大幅削減し、4月には従業員を約81%削減するなど運営コストの圧縮も実行しています。
同社は新規市場開拓や事業拡大のために、外部資金調達と産学連携を組み合わせる計画を進めています。具体的施策としては、ナスダック上場維持のための株式分割(2025年1月の1対50逆株式併合)やサムネイル的な資産整理(2024年に一部ライセンス終了、6月にuBriGeneから資産を再取得、2025年2月に設備をAbbVieへ売却して賃貸契約を終了)を通じてバランスシートとキャッシュフローの改善を図っています。また、2024年に取得した新たな上場用登録枠(2024 S‑3)で最大4,000万ドルの発行枠を確保しており、必要に応じて追加の株式発行や提携による資金調達を行う計画です。
同社は技術革新に対しても実務的な投資を継続しています。研究面では外部の臨床施設をパートナーとしつつ、ライセンス取得後に技術移転して自社または受託メーカーでの細胞処理体制を整備する方針です。短期的には臨床試験の取捨選択や一部プログラムの終了で資源を集中させ、長期的には固形がんや自己免疫疾患での独自性ある適応拡大を目指すことで、技術面と商業面の両立を図ろうとしています。