MASCO CORPMAS

時価総額
$126.8億
PER
住宅向け建材・リフォーム製品の大手。蛇口・シャワーやBEHR塗料を展開。2023年Q3にSauna360を€124M($136M)で買収、2024年Q3にKichlerを$125Mで売却。北米・欧州中心に展開。

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企業概況
113文字)
業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
3項目)
ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
2社)

事業内容

MASCO CORPは住宅の改修や建築向け製品の設計・製造・販売を行う企業で、主に塗料や下地材、蛇口やシャワー、浴槽やスパなどの水回り製品を手掛けています。これらは主にリフォームや修理需要を対象にしており、ブランド力を重視した商品展開をしています。

同社はホームセンターやオンライン、小売店、卸売業者、プロの施工業者や住宅メーカーなど多様な販売チャネルを通じて製品を販売しています。売上は特定の大手小売店に偏っており、例えばホームデポ向けの売上が大きく(2024年は約38%)、主要顧客の取引動向が収益に直結します。

事業は大きく装飾建築製品(塗料や塗装用品)と配管製品(蛇口・シャワー・配管部品・浴槽・スパ等)のセグメントに分かれています。塗料は季節性があり需要は春夏に高まり、配管製品はブランド力や価格競争、原材料コストの変動が業績に影響を与えるため、同社は製品革新や生産性向上、ブランド投資で成長を図っています。

経営方針

同社は中長期で株主価値を高めることを成長戦略の中心に据えています。具体的には、ブランド投資や製品イノベーション、設備投資を通じて既存事業の収益性向上を目指しており、配当と自社株買いを組み合わせた還元を継続しています。たとえば取締役会は2022年10月に最大20億ドルの自社株買い枠を承認しており、2024年は計1,000万株を取得・償却し約7.57億ドルを投じました(2024年末時点で残枠は約8.96億ドル)。また同社は四半期配当を継続するとしており、2025年第1四半期に1株当たり0.31ドルを宣言、年間配当を前年比7%増の1.24ドルを目標にする意向を示しています。

同社は重点投資分野として既存ブランドの強化と製品差別化に注力しています。建材・住宅向け装飾塗料は事業の柱であり、アーキテクチャルコーティング(塗料等)は2024年の連結売上のおよそ32%を占めています。一方で流通チャネル別の依存リスクも意識しており、ホームデポ向け売上は約30億ドルで連結の約38%を占めるため、主要顧客との関係維持やチャネル別の価格/サービス設計で差別化を図っています。原材料の価格変動や人件費上昇に対しては「Masco Operating System」による生産性向上、価格転嫁、調達の長期契約化や合理化(工場統合・人員最適化など)で対処する方針です。

新市場開拓と事業ポートフォリオの最適化も明確な方針です。同社は浴室・サウナ分野の拡充を進めており、2023年第3四半期にSauna360を約1.36億ドルで買収してサウナ・スチームシャワー製品を取り込みました。一方で非中核と判断した事業は売却で資金を回収する方針を取り、2024年第3四半期にKichler照明事業を約1.25億ドルで売却しています。これらのM&Aと売却を通じて、収益性の高い成長分野への投資余力を確保し、株主還元や設備投資に回す計画です。

技術革新では「接続された水まわり製品(コネクテッド製品)」やデジタルサービスに注力しています。同社はタッチレス操作や音声操作、温度・流量のモニタリング機能などを備えた製品群を開発しており、これにより差別化されたユーザー体験とプロ向けサポートを強化しています。加えて、小売顧客のオンライン展開を支えるために自社のEC対応や商品データ整備、サプライチェーンのデジタル化にも投資しており、これらの技術・運用改善によって生産性向上とチャネル横断での成長を目指しています。