ManpowerGroup Inc.MAN

時価総額
$12.3億
PER
人材サービスの大手。派遣・常用採用、アウトソーシング、マネージドサービス、評価・研修、タレントソリューションなどの人材ソリューションを展開。2024年11月の韓国事業売却(現金収入20.6百万ドル)、2024年の従業員サーベイ参加者22,000人超(回答率80%)。米国・欧州・アジアでの事業展開。

事業内容

ManpowerGroup Inc.は、世界各地で企業と働き手を結びつける総合人材サービス会社です。同社は臨時・派遣や正社員紹介、プロジェクト単位の人材配置を主軸に、人材育成やスキル評価、労働力の一括管理といったサービスを提供しています。

同社の顧客は地元の中小企業から大手の多国籍企業まで幅広く、大口のナショナルやマルチナショナル顧客が収益の約六割を占めます。収益の多くは派遣や紹介の手数料(マークアップ)から生まれ、外部委託や成果連動型のコンサルティングなど高付加価値サービスは規模は小さいものの利益率が高い傾向にあります。

同社は地域別の事業体制で北米、欧州、アジア太平洋・中東などに展開しています。サービスは派遣・臨時の提供、直接採用支援、業務の外部委託や労務管理、研修・評価の各分野に分かれ、多くの市場で派遣が売上の中心ですが、情報技術や専門職向けの高付加価値サービスと統合的な人材ソリューションの拡充で収益構造の多様化を図っています。

経営方針

同社は持続的な成長と利益率改善を両立させることを目指しています。成長戦略の中核は、従来の派遣・スタッフ事業に加え、より付加価値の高いアウトソーシングや人材ソリューションへのシフトで、2024年は大手国内外顧客が売上の約60%を占める構成となりました。財務基盤の強化にも注力しており、同年末の現金及び現金同等物は約5億940万ドル、ネット負債/EBITDAは1.97倍、固定費カバレッジは3.27倍と、借入契約の許容範囲内で健全性を保っています。株主還元面では2024年に1株当たり配当3.08ドルを実施し、自己株式は同年に200万株、約1億4090万ドルを取得しました。

同社は差別化を図るため、単なる人材紹介に留まらないソリューション提供を重視しています。具体的には、プロフェッショナル領域を扱うExperisや企業向けのTalent Solutionsを通じてコンサルティングや成果報酬型サービスを拡充しており、地域別の事業構成を見るとイタリアでは売上の約93%が派遣中心、北欧・英国などの北欧地域では約85%が派遣である一方、APME(アジア太平洋・中東)ではアウトカム型サービスの割合が比較的高く15%を占めるなど、地域戦略を変化に合わせて最適化しています。人材の育成と組織文化にも投資しており、将来リーダー育成プログラム(FLP)は2024年に110名が修了、2019年以来合計955名が完了するなど、リーダーの裾野を広げて定着と品質の向上を図っています。

事業拡大と市場再編では、買収と選択的な事業売却を組み合わせた戦略を採っています。直近の買収支出は2024年に約770万ドルにとどまり、小型のフランチャイズや戦略的投資を中心に実行しています。一方で事業の最適化としてオーストリアや韓国の事業を売却し、売却後にフランチャイズ契約を結ぶ形でブランド展開を維持するケースもあり、韓国は2024年に約2,060万ドルの売却対価を得ています。加えて、欧州拠点の統合と業務効率化の一環としてポルトガル・ポルトに地域の財務拠点(Global Business Services)を開設し、グローバルな財務・バックオフィスの標準化を進めています。

同社は技術革新を成長の仲介役と位置づけ、業務基盤のクラウド化とデータ活用に投資しています。具体的にはフロント/バックオフィスを統合するクラウドプラットフォーム「PowerSuite」を展開し、人材のマッチングや勤怠・給与処理、顧客分析の自動化を進めています。ただし、AIや機械学習に関する規制や技術の速い変化は事業に影響を与えるリスクがあるため、同社は法令順守やデータ品質向上、従業員の再スキル習得を並行して進め、運用効率の向上とサービス品質維持の両立を図っています。