Magnera CorpMAGN

時価総額
$3.6億
PER
エンジニアドマテリアル製造の最大手。エアレイド、スパンレースなどの高機能不織布を展開。2021年5月に米国の非織布事業を1.709億ドルで、10月にグローバルスパンレース事業を約3.04億ドルで買収。米国、カナダ、英独仏西、フィリピンに生産拠点を展開。

事業内容

Magnera Corpは高性能の磁性材料とそれを組み込んだコンポーネントを開発・製造する企業です。主力製品はレアアース依存を抑えた磁石や電動機向けコア部品、精密な駆動装置などで、電気自動車や家電、産業機器の省エネルギー化に寄与しています。

同社の主要顧客は自動車メーカー、家電メーカー、産業機器メーカーなどで、特に電動化や高効率化を進める企業からの需要が高いです。収益は製品販売が中心ですが、長期供給契約や設計協業による受託収入、材料や技術のライセンス収入でも売上を安定化させています。

事業は材料、部品、サービスの三つのセグメントに分かれます。材料セグメントでは磁性合金や粉末を製造し、部品セグメントは電動機や駆動装置の組立と検査を担当、サービスセグメントでは設計支援や試験、量産立ち上げのサポートを行って顧客の要求に応えています。

経営方針

同社は中期的に売上高を年率でおおむね3〜5%成長させ、調整後EBITDAを数年で段階的に引き上げることを成長戦略の中心に据えています。具体的には事業のキャッシュ創出力を高め、借入金を圧縮してネットレバレッジ(純有利子負債/EBITDA)を2〜3年で目標水準まで低下させることを目指しています。短期施策としては配当政策の見直しや運転資本管理の強化を行い、2023年の設備投資は約3,380万ドルを実行して収益基盤の安定化を図ったのが特徴です。

重点投資分野は高付加価値のエンジニアード・マテリアル(例えばエアレイド素材、複合繊維、スパンレースといった不織布)に集中しています。差別化の核は既存顧客向けの技術サービスと製品品質で、研究開発拠点やパイロットラインへの投資で製品の差別化を図っています。またコスト面では人員再編や間接費の削減、在庫最適化といった取り組みで固定費構造の改善を進め、2023年にはスパンレース事業で約900万ドルの損益改善を達成しています。

新市場開拓と事業拡大は国内外の戦略的買収と自社拠点拡充の組み合わせで進めています。過去の大型案件としては米国の製造・R&D拠点を買収して生産能力(年産約37,000トン規模)と開発力を獲得した事例があり、今後も衛生材や医療用途といった成長市場でのシェア拡大を狙って選択的なM&Aを検討しています。同社は買収を行う際に負債水準の管理を重視しており、均衡のとれた資本配分で事業拡大を進める方針です。

技術革新への取り組みでは製品開発と生産プロセスの両面で投資を継続しています。具体的には製造ラインの自動化、品質管理のデジタル化、研究開発への継続的投資(設備投資の一部をR&D・パイロット用途に割当)を行い、新しい素材や用途展開を狙います。加えてサイバーセキュリティや業務継続計画の強化、従業員向けの技能訓練や社内改善手法の導入(リーンや品質向上プログラム等)により、技術・運用両面で競争力を高めることを同社は目指しています。