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事業内容
Mastercard Incは世界規模の決済ネットワークを運営し、クレジット・デビットカードや口座を使ったデジタル決済の仲介を行う企業です。同社は取引の承認・清算・スイッチングを通じて金融機関や加盟店が安全かつ円滑に支払いを受けられる基盤を提供しています。加えて不正検知や認証などのセキュリティ機能や決済処理サービスを組み合わせて顧客に提供しています。
主要な顧客はカードを発行する銀行(発行銀行)、加盟店側の金融機関(取得銀行)、小売業者やオンライン事業者といった商業顧客で、最終的には消費者の取引を支えています。同社の収益は主に取引の総額に応じた手数料と、セキュリティ、マーケティング、データ分析などの付加価値サービスによる固定・取引型の料金から成り立ちます。取引量が増えるほどネットワークに蓄積されるデータを活用して新たなサービスを拡大し、収益を伸ばす仕組みを持っています。
事業は大きく決済ネットワーク事業と付加価値サービスに分かれており、ネットワーク事業ではトランザクションのルーティングや決済の清算を担います。付加価値サービスでは不正防止や本人認証、消費者獲得・ロイヤリティ施策、データとAIを使った分析や助言、口座ベースの即時送金やゲートウェイ・処理といった機能を提供しています。同社はこれらを組み合わせて金融機関やフィンテック、プラットフォーム事業者に組み込み、取引当たりの提供価値を高めることを目指しています。
経営方針
同社は成長戦略を「既存の中核事業の拡大」「顧客・地域の多様化」「将来の収益源の構築」という三本柱で進めています。短期の実績としては、2024年のネットレベニューは約282億ドル($28,167百万)で前年から約12%増加し、通貨中立ベースでは約13%の成長を記録しました。株主還元も積極的で、2024年は約2,300万株を買い戻し、買戻し総額は約110億ドルに上り、年末時点で残りの買戻し枠は約152億ドルでした。こうした動きにより、同社は通貨中立での二桁成長の継続を目指しています。
同社は差別化のためにデータ・AI(人工知能)、セキュリティ、決済のデジタル化への重点投資を行っています。具体的には、2024年12月に脅威インテリジェンス企業 Recorded Future を約27億ドルで買収し、不正検知やサイバー対策、リアルタイムの意思決定支援を強化しました。加えて、カード情報の「トークン化」(実際のカード番号を代替データに置き換える仕組み)や認証強化、オンライン決済の簡素化などで承認率向上と安全性を高め、広範なネットワークとブランドを組み合わせた独自の競争優位を築いています。
新市場開拓や事業拡大では、商業決済(法人向けPOSや請求書決済)、送金・支払の近代化(Mastercard Moveを通じた国内外のマネームーブメント拡大)、および特定業界(旅行・医療・消費財・医薬など)への組み込みを重視しています。さらにオープンバンキングやゲートウェイ、処理サービスを通じて金融機関やEC事業者に直接提供することで受注チャネルを広げ、グローバルな人員基盤(2024年末時点で従業員約35,300人、うち約69%が米国外)を活かして地域ごとの需要に対応することを目指しています。
技術革新への取り組みとしては、ネットワークのモダナイズ、処理・ゲートウェイ機能の拡充、オープンAPIによるデータ連携基盤の整備、そしてAIを用いたパーソナライズや高度な不正検知の実装を進めています。サイバーセキュリティ体制の強化や第三者評価の実施、データ利用のガバナンス(プライバシーや利用制限の原則)にも注力しており、これらの投資により高い営業利益率(報告ベースで約55%前後、調整後では約58%台)を維持しつつ、スケーラブルなサービス提供を目指しています。