LyondellBasell Industries N.V.LYB

時価総額
$136.9億
PER
石油化学・精製の最大手。ポリオレフィン、ポリプロピレン化合物、複合材料、プロピレンオキシドや酸素燃料などを展開。2024年5月に米国EO&D事業を売却、同年に欧州資産の戦略的見直し開始、5月に3400万株までの自社株買い承認。米国・欧州・中国中心にグローバル展開、2024年売上403億ドル。

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企業概況
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業績概況
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同業種の日本企業
1社)

事業内容

LyondellBasell Industries N.V.は世界的な独立系化学メーカーで、液体や気体の炭化水素原料を大規模に処理してプラスチック樹脂や基礎化学品を製造しています。同社は酸素含有燃料やアセチル系化学品なども手がけ、ヒューストンの製油所で原油からガソリンや蒸留油を生産しています。

同社の顧客は食品包装や家庭用品、自動車部品、塗料など幅広い産業のメーカーや販売業者で、日常用品から産業用部品まで使われる素材を供給しています。収益は大量生産のコモディティ製品が中心で、原料価格や需給に連動する短期契約やスポット販売が収益構造に大きく影響します。

同社は事業を大きく「オレフィン・化学品」「成形・ソリューション」「精製」のセグメントで運営しており、それぞれでポリエチレンやポリプロピレン、酸化プロピレン、酸素含有燃料などの主要製品を扱っています。さらにサプライチェーンの強化のために各地で合弁事業を展開し、リサイクルや低炭素ソリューションの拡大にも注力しています。

経営方針

同社は「持続可能なソリューションと長期的な利益成長」を掲げ、成長と株主還元の両立を目指しています。具体的には、フリーキャッシュフロー(営業活動によるキャッシュから設備投資を差し引いた額)の約70%を長期的な株主還元の目標とし、配当と自社株買いで還元する方針です。2024年の現金・現金同等物は約33.8億ドル、総有利子負債は約111.5億ドルで、財務の安定を維持しつつ配当(2024年は約17.2億ドル支払)と株主還元を継続することを重視しています。

重点投資分野は既存事業の強化と循環型・低炭素ソリューションの拡大です。同社は既存の強みである大量生産のスケールメリットを活かし、低コストで安定供給を行うことで差別化を図っています。例えば、プロピレンオキシド(PO)分野では世界第2位の生産体制を有し、2024年の同社取り分は約200万トンでした。また、設備投資計画として2025年は約19億ドルを見込み、そのうち約12億ドルを維持保全、約3.5億ドルを持続可能性や循環型事業(CLCS)に振り向ける計画です。

新市場開拓や事業拡大では、資産ポートフォリオの最適化と戦略的提携を進めています。2024年にはエチレンオキシド関連事業を売却して6.89億ドルのキャッシュを確保し、同年にはサウジ系のナットペット(NATPET)に対して約5.0億ドルで35%出資するなど、成長が見込める地域やジョイントベンチャーを通じた拡大を推進しています。欧州資産の戦略的見直しも進めており、製品オフテイク(取り分)やジョイントベンチャーを通じて市場アクセスと収益性の改善を図る計画です。

技術革新への取り組みでは、循環型プラスチックや低炭素化技術の実用化を重視し、事業横断での技術導入を進めています。加えて情報セキュリティやデジタル化にも投資しており、サイバー対策は国際規格ISO27001に準拠、生成型AIは「責任ある利用(Generate Responsibly)」という方針で教育とガイドライン整備を行っています。これらの技術的取り組みは、製品の差別化と運営効率の向上、そして持続可能性目標の達成につながる具体的施策です。