LOGITECH INTERNATIONAL S.A.LOGI

時価総額
$157.7億
PER
コンピュータ周辺機器の大手。ゲーミング機器、キーボード・マウス、ウェブカメラ、ビデオ会議機器など多彩な製品群を展開。2025年1月に7.5億ドルのリボルビングクレジット契約を締結。米州、EMEA、アジア太平洋で展開。

事業内容

LOGITECH INTERNATIONAL S.A.はパソコンやスマートデバイス向けの入力機器や周辺機器を設計・製造・販売する企業です。同社はマウスやキーボード、ウェブカメラ、ヘッドセットなど、人とデジタル世界をつなぐハードウェアを主力に家庭向けから企業向けまで幅広く展開しています。

同社は主にハードウェア販売で収益を上げており、大手小売やオンライン販売業者、ディストリビューター、企業の直接購買を通じて販売を行い、自社の直販サイトも活用しています。売上は米州、EMEA、アジア太平洋に分散する一方で、近年はAmazon、Ingram Micro、TD Synnexといった大口顧客への依存度が高い点が特徴です。

事業は「周辺機器(Peripherals)」という単一の報告セグメントでまとめられ、ゲーミング製品、キーボード・マウスなどの入力機器、ビデオ会議機器やウェブカメラ、タブレット用アクセサリ、オーディオ関連の製品ラインで構成されています。同社はLogitechやLogitech Gといったブランドを用い、デザインと継続的な製品開発で差別化を図っています。

経営方針

ロジテックは製品カテゴリの多様化を成長の中核に据え、既存の周辺機器(ゲーミング、キーボード、マウス、ウェブカメラ、ヘッドセット等)に加え、ビデオ会議やタブレット向けアクセサリなどの戦略分野で売上拡大を目指しています。同社は具体的な売上目標を10‑Kに明示していないものの、株主還元や財務の安定性を重視しており、2025年度には1株当たりCHF1.26(約USD1.43)の配当を取締役会が提案したほか、財務余力確保のために75億ドル($750M)のリボルビング信用枠を設定しています。これらは成長投資と同時に株主価値の維持を図る資本配分の方針を示しています。

同社の重点投資分野は、デザインとユーザー体験を軸にした差別化です。高付加価値製品でのブランド力強化を追求するため、研究開発と人材確保に資源を割いており、従業員報酬には株式報酬制度(例:2006プラン、約33.8百万株の割当枠、利用可能残高7.2百万株、従業員購入制度で29.0百万株の予約など)を用いてエンジニアやデザイナーの維持・獲得を図っています。また、製品とソフトウェアを組み合わせたエコシステムでの差別化を図る一方、特定部品(マイコンや光学センサー等)の調達リスクや中国・東南アジアの生産依存に対する対策も重点項目です。

新市場開拓と事業拡大では、流通チャネルの拡充と戦略的なM&Aや提携の活用が方針です。同社は世界各地で直販と流通を併用しており、米州・EMEA・アジア太平洋での拡販を進めると同時に、必要に応じて非中核事業の切り離しや補完的技術を持つ企業の買収を検討します。実務面では流通先集中(直近年度はAmazon、Ingram Micro、TD Synnexに販売が集中)を踏まえてチャネルリスクの管理を強化しており、資本政策としては市場での自社株買いの一部を取消すなど(2024年度に取得した約410万株を取消、費用約$332.1M)柔軟に株主還元と成長投資を両立させています。

技術革新への取り組みでは、人工知能(AI)を含む新技術の製品化を重要課題と位置付けています。特に生産性向上や製品差別化につながる機能開発に資源を投じる一方で、AI導入に伴う規制・責任問題や知的財産の保護にも注力しており、特許や営業秘密で権利を守る体制を整えています。人材面ではソフト・ハードの技術者確保が鍵と認識し、業績連動の株式報酬(PSUは3年の業績指標として通貨調整後の収益成長率、調整後営業利益、及び市場総合収益比較を用いる)で長期インセンティブを付与することで、イノベーションを継続的に促進しようとしています。