LINCOLN NATIONAL CORPLNC

時価総額
$74.7億
PER
退職金・年金・保険サービスの大手。グループ年金契約、固定年金、変額年金と記録管理サービスを展開。2024年にウェルスマネジメント事業を現金723百万ドルで売却、544百万ドルの利益計上。米国中心の展開。

ランドスケープPowered by 会社四季報オンライン

企業概況
104文字)
業績概況
テーマ
ブランド
1項目)
ライバル企業
3社)
同業種の日本企業
4社)

事業内容

LINCOLN NATIONAL CORPは、個人と企業向けに生命保険や年金商品、退職プラン関連サービスを手掛ける金融持株会社です。同社は変額年金や固定年金、各種の生命保険に加え、企業向けの団体保険や退職プランの記録管理、参加者向け教育・信託サービスを主力にしています。

主要な顧客は企業の退職プランスポンサーやその参加者、機関投資家、個人保険契約者です。同社は運用資産に対する手数料や保険料、固定口座での運用差益(利ざや)、記録管理や信託などのサービス料といった複数の収益源から収入を得ています。

事業は年金(アニュイティ)、生命保険、団体保険、退職プランサービスの4つのセグメントで構成され、それぞれに応じた商品とサービスを展開しています。退職プランサービスでは相互基金ベースのプラットフォームやグループ変額年金、固定勘定を組み合わせたソリューションを提供し、企業規模別のニーズに応えています。加えて、保険子会社の余剰資金運用や再保険、既契約の年金管理などを含む「その他事業」も収益とリスク管理の重要な部分を担っています。

経営方針

リンカーン・ナショナル(Lincoln National Corp.、以下同社)は、株主還元と事業の選別を両立させることで持続的な成長を目指しています。具体的には、取締役会が設定した自社株買いの上限は合計15億ドルで、2024年末時点で残り承認額は7.14億ドルでした。さらに、2024年にウェルスマネジメント事業を売却して7.23億ドルの現金を受け取り、同年には5.44億ドルの税前特別利益を計上するなど、非中核資産の処分で資本を再配分しています。資本配分の判断は主要な資本比率や格付け、フリーキャッシュフローの見通しを踏まえて行われ、同社はこれらを活用して収益性の高い領域へ投資することを目指しています。

同社の重点投資分野はアニュイティ(年金性商品)、生命保険、団体保険、退職給付サービスの4本柱です。退職給付分野では、特に企業型確定拠出年金(401(k)等)向けのソリューションに注力しており、資産規模が概ね1,000万ドル未満の小口事業者向け商品「LINCOLN DIRECTORS」を強化しています。変額年金に内包される市場リスク給付(MRB:マーケットリスクベネフィット)については、総額で資産4.86億ドル、負債10.46億ドル(2024年末)と金額が大きく、商品設計や再保険を通じたリスク移転で差別化を図っています。また、同社は他社に先駆けて個別の再保険や社内再保険を活用し、資本と保険リスクの最適化を目指しています。

新市場開拓や事業拡大では、退職プラン内での「生涯給付保証(GWB)」の提供拡大を掲げ、同社が記録管理サービスを提供する場合も提供しない場合も導入可能な設計で販路を広げています。資金調達・資本市場面では、2025年からのファンディングアグリーメント担保証券(FABN)等の新たなプログラムを開始する計画を公表しており、これにより長期債務と資産のマッチングを強化する意図が示されています。加えて、2022年に発行したシリーズC優先株(発行で得た正味資金約4.93億ドル)などを通じ、資本の柔軟性を確保しています。

技術革新の取り組みは、同社の差別化戦略の中核です。退職給付サービス部門では「テクノロジーで補完された人中心のサービスモデル」を掲げ、デジタルツールによる参加者教育や記録管理プラットフォーム(LINCOLN ALLIANCEなど)への投資を進めています。経営判断や引当の前提については、アクチュアリーやモデル評価の強化を行い、利回りや解約率、株式ボラティリティなどの仮定を定期的に見直しており(将来契約給付引当金は2024年末で397.8億ドル)、このようなデータ・モデル主導の改善を通じて商品設計と資本管理の精度向上を図っています。